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REAPERのTrack間ルーティングとサイドチェインの基本 (1)

ReaperTracks01

REAPERのTrack間およびTrack内でのシグナルルーティングはガッツリ手動で設定が出来るため、非常に柔軟性が高いです。ルーティングの仕組みをしっかり理解すればするほど、自分の思い描いた信号処理が可能になります。

今回はルーティングの最も基本となる基礎知識と設定方法の解説を行い、次回ではFX(プラグイン)側での受け取り方の例としてReaCompを使ったサイドチェインコンプレッションのセットアップ方法を説明していきます。


Trackで扱う信号に関する基本事項

扱える信号の種類、チャンネル

REAPERではTrackでオーディオとMIDI両方の信号を一緒に流すことが出来ます。最初は意味がよく分からないかもしれませんが、「へー、特に区別がないんだな」くらいに認識しておけばOKです。

ちなみにオーディオは1Trackあたり内部に64チャンネルまで持つことが出来、自由に信号を流すことが出来ます。これは「最終的なオーディオデバイス出力のチャンネル数とは関係なくTrackで多数のチャンネルを保持できる」というもので、これら全チャンネルが音声デバイス出力に出力されるかというとそうではありません。例えば出力デバイスが2チャンネルまでしかなければ、それより多いチャンネル数のTrackを作っても3チャンネル目以降はヘッドホンなどに音声出力されることはありません。

では(上記の例でいうと)3チャンネル目以降は意味がないのかというとそうではなく、様々な信号処理を行うのに利用出来ます。他のTrackから音声を受け取ってサイドチェインコンプをかける、というのはその手法の一つです。

TrackChannels01_2

Trackまわりの基本的な信号の流れ

Trackは一見ただ並んでいるだけという感じに見えますが、実際には簡単な階層構造になっており、Trackの親子関係が存在します。MasterTrackが全てのTrackの親になっていて、それ以外のTrackを普通に並べただけであればそれらは全てMaster直下の子Trackたちであるということになります。

TrackSendMaster01

音声信号などはデフォルトで全てTrackから親Trackへと自然に流れていき、最終的にMasterTrackでまとめられたものが音声デバイス(スピーカーなど)に出力されるという流れになります。

更にTrackはフォルダを組んで更に階層を深くしていくことが出来、深いツリー構造を形成することも可能になっています。慣れると直感的に音声信号を束ねたり出来て便利ですが、詳細はまた別の機会に。

説明が難しく感じたかもしれませんが、Trackの信号が子供から親に流れる、ということだけは押さえておきましょう。


Track間でのシグナルルーティング

上記で説明した子Track→親Trackの流れとは別に、任意のTrackにも音声を同時に流したいという場合はTrackからTrackへ音声をセンド(送る)することが出来ます。

各種信号を別のTrackへセンド

あるTrackから別のTrackへ信号をセンドするのは簡単で、Trackのパネル状にある [Route] ボタンをマウス左ボタンのドラッグで送りたいTrack上にドロップするだけです。

TrackSend07

そうするとセンドの設定ウィンドウが出てきて、送信元のどのチャンネルを送信先のどのチャンネルに送るかといったことを設定出来ます。このウィンドウはウィンドウ外の場所をクリックするとすぐ消えてしまいますが、送信元の [Route] ボタンをクリックすればセンド設定のところでいつでも設定をやり直したり、センド設定を解除([Delete]ボタン)することが出来ます。

TrackSendSettings01

細かいところですが、センド設定を行うとTrackの [Route] ボタンの模様が変化し、Send/Receive/ParentSend などの設定状態が簡易的ですが確認できるようになっています。

TrackSendRouteBtn01

親Trackへの信号送信設定

既にTrackは自然と親Trackへ信号を送るといった説明をしましたが、親に信号を送らないといった設定も出来ます。

[Route] ボタンをクリックして出てくる設定ウィンドウの左上に [Master send] というチェックボックスがあり(自分でTrackフォルダ階層を作った場合は [Parent send])、これのチェックを外すと親に信号を送らなくなります。他のTrackにセンドもしていなければMasterTrackへこのTrackの信号が到達することはなくなり、音声出力から音が出ることもなくなります。

TrackSendParent01

普段このチェックボックスをOFFにする機会は少ないかもしれませんが、例えばサイドチェイン専用の音声信号を作ってその音声自体は鳴らしたくない、などといった場合にOFFにすることになるかと思います。



今回はTrack周りに関するシグナルルーティングについて最低限知っておくべき部分に触れたので、次回はサイドチェインコンプのセットアップに進みます。


REAPER基本設定:Trackのデフォルト設定

REAPERではTrackを新規作成する際のデフォルト設定をPreferencesで設定しておけます。自分のワークフローに適した設定にしておくと作業工数が減るので、あらかじめ好みの設定にしておきましょう。

以下のものはREAPERのPreferencesに設定があるので、メインメニューの [Options>Preferences...]でPreferencesウィンドウを表示しましょう。


おすすめの設定項目

音声/MIDIのレコーディング関連設定

PrefTrkDef_Rec01

[Project>Track/Send Defaults]ページのTrack設定の下の方に録音関連のデフォルト設定項目があります。このあたりは音声の録音をメインにする場合と、MIDIの打ち込みをメインとする場合とで設定が異なるかと思います。

筆者の場合はMIDIの打ち込みやサンプルを貼りつけることの方が多いので、以下のようなMIDI寄りの設定にしています。

PrefTrkDef_Rec02
↑ Track設定の [Record config]の設定例
  • 入力デバイス指定
    [Input: MIDI>All MIDI Inputs>All channels] を選択して、全てのMIDIメッセージ入力を受け取るようにしています。好みに応じて特定のMIDIデバイスに固定するのでも良いかと思います。(音声録音を主体とする人は、いつも使う録音デバイスにしておくとよい)
  • Automatic record-arm when track selected
    これをONにしてTrackが作られると、録音Armが [A] と表示されます。この状態の場合、そのTrackを選択すると自動的に録音ArmがON(選択解除でOFF)になるため、Armの切り替えが楽になります(これもArmのON/OFF切り替えの工数が減る)。
  • Monitor Input
    録音時のモニタリングをONにしておく(これをONにしないとVSTなどからも音が出ない)。ちなみにREAPER v6.0からデフォルト設定がONになったようです。それより前からREAPERを使っていた場合、デフォルトがOFFのままになっているため注意。

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