Falcon

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UVI Falcon:驚異のプリセット機能、コピー&ペースト

UVI Falconのあまり語られない機能を紹介していくこのコーナー(?)
今回はFalconのプリセットまわりの仕組みを取り上げようと思います。

Falconのプリセットの仕組み

*「はぁ? プリセット?
  そんなのいつも使ってるよ! 一覧から音色選ぶやつでしょ?」
Falcon_Preset01
と思うかもしれませんが、Falconのプリセット機能全体から見るとそれはほんの一部でしかありません。

Falconでは音色(Program)切り替えだけでなく、Oscillator、Effect、Modulationなどといった個別のモジュールにもプリセット選択機能が付いています。モジュールによってファクトリプリセットの数はまちまちで、プリセット0個のものから、かなりの数のファクトリプリセットを持つものまで存在します。今回は具体的なプリセット紹介とかやりませんが、一通りチェックしておくとよさそうです。
Falcon_Preset02
↑ モジュール右上のプリセット一覧から選択出来る

もちろん、ファクトリプリセットを使うというだけでなく、自分で作った設定を保存しておけるユーザープリセットの機能も搭載しています。

ではFalconで扱える(Save/Load可能な)プリセットの種類をざっと見てみましょう。

  • multiプリセット
    音色Partを複数まとめたもの。NI KONTAKTを使ったことがある人なら似た仕組みがあるので分かりやすいかと。
  • Programプリセット
    いわゆる音色切り替えで扱うプリセット(多くのプラグインシンセの音色プリセットに相当)
  • Keygroup User Template
    Falcon_KGPreset01
    単体保存のみだがKeygroupを保存しておける。選択Keygroup右クリック>[Save Keygroup Template]で保存すると、MAPPING右クリックでUser Templateから選べるようになる
  • あらゆるモジュール毎のプリセット
    Falcon_Preset02
    Oscillator、Effect、Modulationなどそれぞれのモジュール単位で個別にプリセットが作れる。
  • マルチエフェクト(mfx)
    Falcon_MultiFx01
    EFFECTSタブで複数のエフェクトをまとめて保存しておき、後で全部いっぺんに追加が可能。Effect関連でいうとEffect Rackという別の仕組みもあるが、これは単品モジュールと同じ扱いでいける。

多くのプラグインシンセでは音色単位のプリセット保存が出来ますが、Falconでは様々な階層やグループ等で部品をプリセット化しておけることが分かりますね。

ではこのあたり他のシンセと比べて良さそうな点を挙げてみると、

  • 自作の音色で、後々使いまわしたいところだけを分解して部品ごとに再利用可能
  • Expansionなどの音色から例えばReverbの設定だけ保存しておいて使いまわせる
  • エフェクト等のモジュール毎に特定用途の設定を作りためておくことが可能
  • MultiEnvelopeのような複雑なモジュレーションカーブもそれ単品で使いまわせる
  • Keygroup User Templateを充実させておくと音色を一から作る時に明らかに時短
  • multiでレイヤー化もしくはマルチ音源化した音色も取っておける

などなど、結構なメリットがあります。とにかくあらゆるモジュールが再利用可能と考えると、Falcon Expansionの音色を観察する見方も変わってくる気がします。EffectやらOscillatorやらのよさげな設定とかあったらプリセット保存して集めておくのもアリかと。

Falconはルーティングが非常に簡易化されていることを除けばいわゆるモジュラーシンセみたいなものなので、自然とこういう仕組みが組み込まれたのかもしれません。このようなプリセットの仕組みを活用してユーザープリセットを充実させていけば、一から音色を作っていく作業も楽になっていきますし、使えば使うほどあらゆる作業が効率化していけることが分かります。


ユーザープリセットの階層化

とにかく部品ごとにプリセットが作れるというだけでありがたいのですが、Falconは更にプリセットの階層化に対応しています。要するにフォルダ分けしてプリセットを整理しておけるのですが、更に階層もどんどん深くしていくことが可能。なんなんだこいつは(歓喜)

FalconのユーザープリセットはWindowsだとユーザーのドキュメント以下の UVI/Falcon/User Presets に保存されています。例えばAnalog Filterなら FXs/Analog Filter にあります。

ここに更にフォルダを掘ってプリセットファイルを振り分けておけば、Falcon上でもメニューが階層的に表示されます。そのフォルダの中に更にフォルダを掘っていけば、Falcon上でもUser Presetの階層が深く表示されます。
Falcon_UserPreset01
↑ フォルダを掘ってプリセットを配置
Falcon_UserPreset02
↑ Falcon上でもメニューが階層化される

勿論エフェクトだけでなく、Keygroup User Templateなども同様にプリセットを階層化しておけます。グループ分類厨の人は作業が捗りますね。

ちなみにユーザープリセットもFalcon右側のブラウザに反映されて表示されるので、モジュール新規追加時にドラッグ&ドロップ出来て便利。
Falcon_UserPreset03


モジュール設定のコピー&ペースト

これまでプリセット保存、つまりはファイルに保存しておくことを中心に説明してきましたが、Falconではモジュール設定のコピー&ペーストも可能です。音色を作っていてモジュール設定を複製したくなった場合に、いちいちプリセットのファイルを保存するまでもない(将来再利用したい訳ではない)時はコピペ機能を活用しましょう。

モジュールを複製する場合は以下の手順でOK。

  1. コピーしたいモジュールのメニューから [Copy to clipboard] で設定をコピー
  2. 設定をコピーしたモジュールと同じものを新規作成
  3. コピー先モジュールのメニューで [Paste from clipboard] で設定を貼り付け

コピー&ペーストに関する注意点

理由は良く分かりませんが、Sampling系のOscillatorではセットした波形ファイルのパスだけがコピペされないようです。バグなのか何か理由があるのか・・・?

他のモジュールも全てチェックした訳ではないので、他にも何かコピペできないものがあるのかもしれません。あ、そういえばレイヤーだけはコピペや複製が一発では出来なそうでしたね(でも複数のKeygroupコピペ機能などがあるので困ることはない)。



今回はFalconのプリセットまわりの仕組みについて説明してみました。こういったFalconのシステム周りの具体的なメリットって、ネットやSNS・Youtube動画などを見ても、なぜかあまり語られないんですよね。でも「Falconだからこそ出来る事」というのは、地味でもこういう部分に凝縮されてたりするので侮れません。

自分がFalconを誰かにオススメする場合に、相手が音色を作ったり弄ったりするという人であれば、迷わずこのプリセットの仕組みを話しそうです。特に効果音制作などのように、理詰めで音を構成していくのには非常に相性が良いので、そういう作業をする人にはオススメですね。


UVI Falcon2:Euclidean Drum + Script Event Modulation

以前の記事でEuclidean Drum SequencerにScript Event Modulation機能が付いたらいいなーと書いていたのですが、意図していたものがサクっと作れたので今回はそのお話です。

Voice毎のModulation付与スクリプト

Script ProcessorでVoice(Note)単位の情報を処理できるので、以下のような方針でスクリプトを作ってみました。

  • 何かをもとにNoteを区別して個別のModulation値を設定したいが、Euclidean Drum SequencerではVelocityくらいしか区別するものがないので、それを使用(通常とアクセントの2系統)
  • 汎用的に使えるように作用するNote番号やEventIDなどを細かく設定可能にする
  • 指定Modulation値になるまでの遷移時間設定で、継続的変化を可能にする

そして出来たのがこちら。スクリプトはこちらからダウンロードして下さい。
EDS_ModSP01

このスクリプトは受信したNote入力シグナルに対し、Note単位でのModulation値を設定します。NoteのVelocityに応じてそれが通常かアクセントかが識別され、そのいずれかに対応するModulation値と変化時間が適用されるという仕組みになっています。

GUIの各種パラメータの説明は以下の表をご覧ください。

パラメータ名説明
NoteNum反応するNote番号を指定するか(OFFの場合はNote番号に関係なく反応するようになる)
Note反応するNoteの番号
AccentThrアクセントとみなすVelocityの閾値。これより大きいVelocityが来たらアクセントだとみなす。
EventIDScript Event Modulationで識別するためのEventID
ModNml通常Velocity時のModulation設定値
RampNmlModulation設定値遷移時間(通常時)
ModActアクセントVelocity時のModulation設定値
RampActModulation設定値遷移時間(アクセント時)

使い方は以下のとおり。

  1. Euclidean Drum Sequencerで音が鳴らせるところまでセットアップ(過去の記事を参考に)
  2. ProgramのEuclidean Drum Sequencerの後ろ側に新しくScript Processorを作成し、スクリプトを読み込む(説明の都合上、以下これをSP1とする)。これでGUIが表示されます。
  3. ProgramのMODに[Script Event Modulation]を追加し、[EventId]の値をSP1の[EventID]に合わせる(番号が一緒なら任意の値でOK)
  4. Keygroup以下のパラメータにこのScript Event Modulationを結び付ける(このへんは以前の記事のDrum Sequencerと同様)
  5. あとはSP1の[ModNml]、[ModAct]、[RampNml]、[RampAct]などでモジュレーション具合を調整

可能な限り表現力を追求したい場合、セットアップのコツとしては、Note番号毎に個別にScript Processor、Script Event Modulationを用意し、全て別系統のEventIDを使うとよいでしょう。パート毎のコントロールがしやすくなります。とはいえこのモジュレーションの仕組みを正確に理解していないと難しく感じるかもしれません。

さすがに言葉による説明だけだと訳わからないかもしれないので、そのうち使用例の動画だけでも作ろうとは思っています。しばしお待ちを・・・。
(2019/11/21追記)使用例の動画を作成しました。



今回は独自のスクリプトを作って、表現力を上げるための仕組みを作ってみました。既存のものでは実現出来なくても、やる気と根性である程度実現出来てしまうのがFalconの最大の魅力と言っていいでしょう。このへんやりたい放題出来るのはREAPERとも通じるところがありますね。


UVI Falcon2:Euclidean Tonal Sequencerの使い方

前回の記事ではユークリッドリズム系のScript ProcessorであるEuclidean Drum Sequencerを紹介しましたが、今回はその兄弟版のようなものにあたるEuclidean Tonal Sequencerを取り上げてみます。

Euclidean Tonal Sequencerの使い方

Euclidean Tonal Sequencerはユークリッドリズムをもとにして演奏するシーケンサーですが、前回紹介したものがワンショットの音をトリガーするだけなのに対し、設定したスケール上の音を演奏してくれるものになります。複雑なリズムが作れるアルペジエーターという感じでしょうか。
ETS_Main01

で、記事を起こしておいてなんですが、実は概念と使い方の8割くらいは前回と同じなので、まずは前回の記事をご覧ください。

ユークリッドリズムなどの基本が把握出来たら、あとはTonal側固有の設定を見てみましょう。

  • 各パート一番右にあるDEGREE
    これは今押しているNoteに対して、スケール上の相対で何度に対応する音を鳴らすか。ざっくり説明でいうと、I がMIDIキーボードのキーを押している音、II ならスケール上の次の音に対応する感じ。8vaが付いているものは1オクターブ上の音になります。
  • KEY
    スケールのルート音を指定
  • MODE
    使用するスケールを指定
  • GATE
    トリガーしたNoteを演奏する長さ。シーケンスを再生しながらいじってみれば感覚で分かるかと。
  • 再生方法
    右上の三角ボタンではなく、MIDIキーボードなどでNoteを入力するとシーケンスが再生されます。

あと、原則として設定したスケールの音しか出なくなります。スケールから外れたNoteをMIDI入力した場合、何も演奏されないので注意。

Keygroupの設定については、全音域に1つでもいいし、Note毎とか音域とか任意の区切りで複数作って、組み合わせで複雑な音色にするのもアリかと思います。このあたりの凝り方は一般的なArp系音色を作る場合と同じですね。

まぁ一から音色作らなくても、適当なプリセットを選んでから、Program層にこのEuclidean Tonal Sequencerを追加して鳴らしながら音色調整、というのが一番ラクかな。



今回のやつは前回の延長上というか、使い勝手はほぼ同じなので簡単でしたね。スケールまわりが言葉の説明だとしっくりこないかもしれませんが、要するに「そのスケールの音しか鳴らない」というだけなので、少し使ってみると容易に理解できるのではないかと思います。


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