基本

PeloReaper Extensionの情報やダウンロードはこちらからどうぞ。
PeloReaper Extension for REAPER is here.
ReaperBanner01_w250 AudioSoftBanner01_w250

MeldaのMChannelMatrixでチャンネルルーティング

MeldaProductionが出しているフリーのプラグインバンドルMFreeFXBundleには、いろいろと便利なプラグインが含まれています。今回はその中の一つMChannelMatrixを紹介します。


MChannelMatrixについて

MChannelMatrix01

MChannelMatrixはMeldaProductionから無料配布されているプラグインで、入力オーディオのチャンネルを指定のチャンネルに切り替えて出力するプラグインです。例えば、2chのステレオオーディオなら、LとRを入れ替えるとか両方のチャンネルをLの音にするとかいったことが可能です。

ステレオ入出力だけでなく8chなどのマルチチャンネルにも対応していますので、例えば2chの音源を4chの各チャンネルに振り分けたり、特定の目的で(例えばサラウンドのチャンネル順の修正等)チャンネルを入れ替えたりといった様々な用途に利用出来ます。

↓ MeldaProductionのMChannelMatrixについてのページはこちら

プラグインのインストール方法

MeldaのプラグインはMeldaProductionのDownloadページにあるインストーラーを使ってインストールします。インストーラーは1種類しかなくて、それにすべてのプラグインが含まれています。

インストールの途中でどのプラグインを入れるか指定するところがあるので、そこでMFreeFXBundleをクリックしてやれば、フリーのプラグインが選択されてインストールされます。

インストール方法の詳細は過去にまとめてあるのでそちらのページをご覧下さい。


MChannelMatrixの使い方

ここではREAPERでどのように使うかを示します。

基本的な使い方

MChannelMatrixの使い方は簡単で、Track FXにインサートして、入出力チャンネルの対応付けチェックを設定するだけです。

マトリックスの見方は、左側から各チャンネルの入力音声が入ってきて、チェックを入れたところから下方向の出力先チャンネルに出ていくという感じです。縦一列に全くチェックが入らない場合、そのチャンネルからは何も出力されないことになります(そのチャンネルが無音になる)。

MChMtx_InOut

[Volumes]というところをクリックすると、マトリックスに出力音量設定が表示されます。音量もここで調節したいという場合に使用します。

ChMtx_Volumes

SIDE-CHAIN側のマトリックスで、サイドチェイン入力についてもチャンネルルーティングを行えますが、普段滅多に使うことはないでしょう。


マルチチャンネル(サラウンド)での使い方

マルチチャンネルの場合2chより多くのチャンネルを使用するため、Trackのチャンネル設定などいくつかセットアップする必要があります。例えば8チャンネルを使用する場合、以下のような手順でセットアップします。

  1. Trackのオーディオチャンネル数設定
    Trackの[Route]ボタンをクリックし、[Track channels]を8に設定します。
    TrackCh8
  2. FXへの音声入出力ルーティング設定
    MChannelMatrixのFXを表示した状態で、FXウィンドウ上部の [8/16 in 8out] をクリックして、プラグインの入出力設定を行います。通常はデフォルトで以下の画像のように正しく設定されているハズなので、ここでは確認するだけです。
    TrackFX_InOut
  3. MChannelMatrixのサラウンド機能有効化設定
    MChannelMatrix右側のプラグインツールバーにある、Channel Modeでサラウンドを有効化([Activate Surround]で有効化し、一旦DAWを再起動する必要あり)して、その後Channel Modeを [Surround] にします。
    このプラグインツールバーのChannel Mode設定方法についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみて下さい。
    MChMtx_ChModeSurround
    サラウンドに切り替えるとこうなります。
    MChMtx_Surround

これでセットアップが完了したので、MChannelMatrixをマルチチャンネルで使用できます。使い方はチャンネル数が増えただけで、ステレオの時と変わりません。


VOICEPEAKとREAPERで簡単に音声合成する方法

初稿:2022/12/05 00:10 - 最終更新:2023/02/04

前回はVOICEVOXとREAPERで音声合成を簡単に行う方法を紹介しましたが、今回は類似の音声合成ソフトであるVOICEPEAKをREAPER上で簡単に使う方法を紹介します。


VOICEPEAKとは

VoicepeakLogo

VOICEPEAKはDreamtonics社の開発した最新のAI音声合成技術syllaflowを搭載し、手軽に読み上げさせることが可能な入力文字読み上げソフトです。ただしこのソフトはフリーソフトではなく、販売されている商品となりますので、ご利用になる場合は別途購入する必要があります。


PeloReaper ExtensionのVOICEPEAK Integrationについて

VOICEPEAK v1.1.0ベータ版からは、VOICEPEAKのエディタだけでなく、コマンドラインでの実行もサポートしました。PeloReaperにはそれを応用したVOICEPEAK Integration機能が実装されています。

逆にこのv1.1.0ベータ版より前のバージョンや体験版などを用いても正しく動作しませんので、PeloReaperの機能を用いるには、VOICEPEAKの製品版の購入が必須となる点にご注意下さい。また、ベータ版については、製品購入後AHSのユーザー登録を経て、ユーザーのダウンロードページにてダウンロードが可能となっています。


環境構築方法

PeloReaper Extension for REAPERをインストール

以下の記事を参考に、PeloReaper Extension for REAPERを事前にインストールしておいて下さい。



VOICEPEAKのインストール

VOICEPEAKを購入後、インストーラーで普通にインストールを行って下さい。一旦VOICEPEAKを起動して、VOICEPEAKエディタ上で普通に音声合成が出来るかどうかチェックして下さい。

VoicepeakEditor01
↑ 普通に文章の読み上げが出来ていればOK


PeloReaperのVOICEPEAK環境設定

REAPER上で以下のActionを実行して、環境設定のウィンドウを表示します。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Show VOICEPEAK settings window...

ウィンドウ上の[voicepeak.exe Path]というテキストボックスに、インストールしたvoicepeak.exeの場所を設定します。

VPI_SetupPref
↑ 自分でインストールした場所を設定する

あとは[Save and rebuild cache]ボタンを押せば完了です。この時、VOICEPEAKを今後実行するのを高速化するためのキャッシュ情報が構築されます(進捗が分かるウィンドウが表示されます)。環境によりますが、数秒~数十秒程度で終わるのでしばらくお待ちください。

また、今後AHSからVOICEPEAK製品が登場する予定になっているようですが、新製品をインストールした場合もこのキャッシュ構築が再度必要になりますので、覚えておきましょう。

これで環境構築は完了です。


REAPER上で音声合成を行う

REAPERで以下のActionを実行します。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Generate dialogue with VOICEPEAK TTS...

TTS設定のウィンドウが表示されますので、ナレーターを選択してテキストを入力し、[Generate]ボタンをクリックすれば音声合成が実行されます。

VPI_TTS01

Emotionsグループでは感情パラメータ、Optionsグループでは話す速度やピッチの調整が可能です。速度やピッチの値の範囲については、数値入力のボックスにマウスカーソルを重ねるとヒントが表示されます。

VPI_Tooltip01

ちなみに上記ダイアログのテキストボックスは複数行入力できるようになっており、行を分けるとそれぞれが1つのwavファイルとして生成されるようになっています。

↓ 実行例
VPI_TTSEx02

CSVファイルを使って沢山のセリフを一括音声合成

セリフが沢山あるという場合、一括で音声合成を実行できると便利なので、CSVファイルでの一括音声合成機能も実装しました。行ごとにナレーターや配置時刻も指定可能です。

CSVファイルを用意して音声合成を実行

CSVファイルの仕様はPeloReaperのマニュアルPDFに記載されているのでそちらに譲るとして、CSVの行ごとに、以下のような情報を用意します。

  • ナレーター名
    ナレーター(話者)の名前を指定します(例:Female 1)。
  • セリフテキスト
    音声合成されるセリフのテキスト
  • 配置時刻(省略可能)
    秒もしくはタイムコード(HH:MM:SS:FF)で指定

他にも感情設定など細かく設定は可能ですが、そのあたりはPeloReaperのマニュアルをご覧下さい。PeloRaperのマニュアルは以下のActionで表示することができます。

[PeloReaper] Misc: Open PeloReaper document (ExtensionGuide: Japanese/English)

VPI_CSV01

Excelだと最低限で上図のような感じに記入してから、CSVファイルとしてファイルに保存します(Excelメニューの「ファイル>名前を付けて保存>CSV(コンマ区切り)で保存)。

VPI_CSV02
↑ 書き出したCSVファイル

1行ごとに最低限2つのフィールド(ナレーター名、テキスト)は必須ですが、それ以降の項目は任意です。CSVの行の先頭にシャープ(#)を記入すると、その行はスキップされます。

CSVファイルを用意出来たら、以下のActionでそのCSVファイルを選択すれば、一括で音声合成が行われてwavファイルが自動的にREAPERにインポートされます。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Generate dialogue with VOICEPEAK TTS (CVS: ShiftJIS)...

ナレーター名について

ナレーター名は以下のActionを実行してCSVファイルに情報をかき出すことで、確認することが可能です。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Save VOICEPEAK narrator infos to csv file...

NarratorInfos01
↑ ナレーター名と利用できる感情パラメータ一覧

セリフTrackを用いたセリフ作成と音声合成の効率化

セリフTrackとEmpty Itemを用いることで、台本作成やセリフの配置作業を効率的に行う仕組みを実装しましたので、それについて説明します。

Empty Itemについて

REAPERのItemにはメモ書き(Item Notes)を設定出来ますが、Empty Itemを用いるとItem上にそのメモ書きを表示してくれるという便利な機能があります。セリフをEmpty Itemで配置して、それらを一括で音声合成することも可能です。

ちなみにEmpty Itemは何かTrackを選択し(配置先)、時間選択範囲を指定して、

Insert empty item

というActionを実行すれば作成できます。このEmpty Itemをダブルクリックするとメモ書き(Item Notes)を記入するダイアログが出ますので、そこでセリフを設定します。

EmptyItem01

セリフTrackの作成

Empty Itemを配置したTrackの名前にナレーター名を記載することで、このTrackがセリフTrackになります(後でこの名前は音声合成などに用いられます)。

↓ セリフTrackを作成した例
VPI_DlgTracks01

PeloReaper v2023.02.03以降では、選択したTrackにNarrator名をGUIで選択して設定するActionを追加してありますので、簡単にセリフTrackのセットアップが行えるようになりました。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Set VOICEPEAK narrator name to selected tracks...
VoicepeakNarratorSelection

セリフ用Empty ItemをGUIで編集

Itemを一つ選択して以下のActionを実行すると、そのItemのItem NotesをGUIで編集出来ます。また、Narrator名もこのItemのあるTrackのTrack名に設定されます。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Edit item notes and select narrator(track name) with dialog...
VPEditItemNotesDialog

選択したセリフ入りEmpty Itemから音声合成

セリフTrack上にある、セリフを記入したEmpty Itemたちを選択状態にして、以下のActionを実行すれば即座に音声合成を行うことが出来ます。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Generate dialogue from selected item notes with VOICEPEAK TTS

↓ 実行例(クリックで拡大)
VPI_TTSEx01

セリフTrackのCSVエクスポート・インポート

セリフTrackを選択して以下のActionを実行することで、選択したセリフTrackの情報をCSVファイルに書き出すことが出来ます。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Save selected dialogue tracks to csv file...

逆に以下のActionでCSVをインポートすることも可能です。

[PeloReaper] VOICEPEAK: Create dialogue empty items from csv file (CSV: UTF8/ShiftJIS)...

これらのActionを使うことでセリフTrackの情報を読み書き出来るので、セリフの台本をREAPER上で作ったり、CSVをExcelで編集することで作ったりと、方法を自由に選択出来るようになっています。


音声の調整について

音声の細かい調整についてはREAPER上で出来ませんが、今のところ以下のような使い方を想定しています。

  1. 音声合成を実際にやってみて、読み方がそもそもおかしいとかイントネーションがおかしいといった場合は、VOICEPEAKエディタのユーザー辞書管理機能(ウィンドウ上部の本のようなアイコン)で調整する(大抵の他のTTSソフトでもこの辞書育成が肝になっているので、慣れている人にとってはお馴染みかと思います)。
  2. どうしても細かい発音調整が必要なセリフに関してのみ、VOICEPEAK Editorでセリフ入力&調整してwavを書き出し、手動でREAPERにインポートする。

そのうちもうちょっと良いワークフローが思いつくかもしれませんが、現状での筆者の利用方法想定は上記のような感じです。


おまけ:動画に字幕・テロップを簡単に付ける

VOICEPEAKで声をあてて何かの簡単な解説動画を作るような場合、更に手っ取り早く字幕を付けたいと思うことも多いでしょう。それをサポートする機能がPeloReaperにありますので、こちらの記事もどうぞ。


最後に

VOICEVOXの場合と同様、REAPER上でサクっとVOICEPEAKを呼び出せたら作業が楽になりそうだったので、今回の機能を実装してみました。Action名などもVOICEVOXのものとほぼ同じようなものにしてあります。

VOICEPEAKの製品購入が必要な点は若干敷居が高いかもしれませんが、興味のある人に使ってもらえたら嬉しいです。


VOICEVOXとREAPERで簡単に音声合成する方法

初稿:2022/11/17 18:10 - 最終更新:2023/02/23

キャラクターボイス系の音声合成ソフトは沢山ありますが、近年商用利用も簡単に可能なものが増えてきました。その中でフリーで誰でも使えるVOICEVOXというソフトがあるのですが、今回PeloReaper ExtensionにVOICEVOX Integrationを実装して利用しやすくしてみました。以下、この機能の使い方を紹介していきます。


VOICEVOXとは

VOICEVOX01

VOICEVOXは「無料で使える中品質なテキスト読み上げソフトウェア」としてフリーで配布されているソフトで、テキストから音声合成(Text to Speech、TTS)を行うことが可能です。

音声合成を行えるキャラクターが多数含まれているため、最初からいろいろなキャラクターのかけあいを作ったりすることが出来ます(ボイボ寮といった世界観設定もある)。キャラクター毎に個別に利用可能な範囲が定められていたりするため、それぞれの規約を熟読して使うかどうかを判断しましょう。


PeloReaper ExtensionのVOICEVOX Integrationについて

VOICEVOXで特にありがたいのは、内部の音声合成エンジンの部分(VOICEVOX ENGINE、VOICEVOX CORE)もそれぞれ分けて配布されており、APIが公開されている点です。これによってVOICEVOXを別のソフトに組み込むことが比較的容易になっています。

筆者はこれらのAPIを用いて、PeloReaper ExtensionにVOICEVOXを簡単に利用するための機能を実装しました。具体的には、REAPERからVOICEVOX ENGINEへ通信を行って音声合成をう機能が追加されています。


環境構築方法

PeloReaper Extension for REAPERをインストール

以下の記事を参考に、PeloReaper Extension for REAPERを事前にインストールしておいて下さい。


VOICEVOXのインストール

次にVOICEVOXを本家のページからダウンロードしてインストールします。zip版であれば任意のフォルダに解凍するだけです。

VOICEVOX_DL01

解凍したらVOICEVOX.exeを実行して、VOICEVOX Editorを起動します。起動したらVOICEVOXが正しく動作するかどうか確認して下さい(何かセリフを入力して言葉を音声で再生できればOK)。

VOICEVOX_Test01

これで準備完了です。VOICEVOX Editorは音声合成用のサーバー(VOICEVOIX ENGINE)として利用される(REAPER側からこれに通信して使用される)ため、Editorをこのまま起動しっぱなしにしておいて下さい

要するにVOICEVOX Editorを起動しておくだけなので、簡単ですね。

※ちなみにインストーラー版だとQ&Aのページにあるように、以下の場所にインストールされるようです。

C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\Programs\VOICEVOX

REAPER上で音声合成を行う

REAPERで以下のActionを実行します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Generate dialogue with VOICEVOX ENGINE TTS...

キャラ・スタイルの選択とテキスト入力が出来ますので、それぞれ入力して [Generate] ボタンを押せば、音声合成が行われて結果のwavファイルがREAPERのタイムライン(Arrange View)にインポートされます。これだけなので、簡単ですね。

tts01
(gifのプレビューが壊れていますが、クリックすると正常に見られます)

ちなみに上記ダイアログのテキストボックスは複数行入力できるようになっており、行を分けるとそれぞれが1つのwavファイルとして生成されるようになっています。


CSVファイルを使って沢山のセリフを一括音声合成

セリフが沢山あるという場合、一括で音声合成を実行できると便利なので、CSVファイルでの一括音声合成機能も実装しました。行ごとにキャラクターや配置時刻も指定可能です。

CSVファイルを用意して音声合成を実行

CSVファイルの仕様はPeloReaperのマニュアルPDFに記載されているのでそちらに譲るとして、CSVの行ごとに以下の情報を用意します。

  • SpeakerID
    キャラクター(話者)の名前と発声スタイルを表すID(SpeakerIDの書き方は後述
  • セリフテキスト
    音声合成されるセリフのテキスト
  • 配置時刻
    秒もしくはタイムコード(HH:MM:SS:FF)で指定
VOICEVOX_CSV

Excelだとこんな感じに記入してから、CSVファイルとしてファイルに保存します(Excelメニューの「ファイル>名前を付けて保存>CSV(コンマ区切り)で保存)。

VOICEVOX_CSV_Text
↑ 書き出したCSVファイル

1行ごとに必ず3つのフィールドを必要とするため、先頭行にヘッダを書いています。SpeakerIDが何らかのキャラ・スタイルに該当しない場合、その行は無視されるため、このヘッダ行は無視されることになります。

CSVファイルを用意出来たら、以下のActionでそのCSVファイルを選択すれば、一括で音声合成が行われてwavファイルが自動的にREAPERにインポートされます。

[PeloReaper] VOICEVOX: Generate dialogue with VOICEVOX ENGINE TTS (CVS: ShiftJIS)...

CSVTest01
↑ 実行例(gifのプレビューが壊れていますが、クリックすると正常に見られます)

SpeakerIDについて

SpeakerIDは以下のいずれかの方法で知ることができます。

  • 「話者名:スタイル名」(コロンは半角英数)
    という形式でSpeakerIDになります(下記Speaker情報CSVを見ると分かります)。
  • 以下のActionを実行してCSVにSpeaker情報一覧を保存し、そのCSVファイルを見る
    [PeloReaper] VOICEVOX: Save VOICEVOX speaker infos to csv file...
    下図の「SpeakerID(Text)」「SpeakerID(Num)」の列のどちらの値も使用できます。
    SpeakerIDCSV03

セリフTrackを用いたセリフ作成と音声合成の効率化

セリフTrackとEmpty Itemを用いることで、台本作成やセリフの配置作業を効率的に行う仕組みを実装しましたので、それについて説明します。

Empty Itemについて

REAPERのItemにはメモ書き(Item Notes)を設定出来ますが、Empty Itemを用いるとItem上にそのメモ書きを表示してくれるという便利な機能があります。セリフをEmpty Itemで配置して、それらを一括で音声合成することも可能です。

ちなみにEmpty Itemは何かTrackを選択し(配置先)、時間選択範囲を指定して、

Insert empty item

というActionを実行すれば作成できます。このEmpty Itemをダブルクリックするとメモ書き(Item Notes)を記入するダイアログが出ますので、そこでセリフを設定します。

EmptyItem01

セリフTrackの作成

Empty Itemを配置したTrackの名前にSpeakerIDを記載することで、このTrackがセリフTrackになります(後でこの名前は音声合成などに用いられます)。

↓ セリフTrackを作成した例
DialogueTracks01

PeloReaper v2023.02.03以降では、選択したTrackにSpeakerIDをGUIで選択して設定するActionを追加してありますので、簡単にセリフTrackのセットアップが行えるようになりました。

[PeloReaper] VOICEVOX: Set VOICEVOX speaker ID to selected tracks...
VoiceVoxSpeakerIDSelection

選択したセリフ入りEmpty Itemから音声合成

セリフTrack上にある、セリフを記入したEmpty Itemたちを選択状態にして、以下のActionを実行すれば即座に音声合成を行うことが出来ます。

[PeloReaper] VOICEVOX: Generate dialogue from selected item notes with VOICEVOX ENGINE TTS

↓ クリックで拡大
TTSFromItems

セリフTrackのCSVエクスポート・インポート

セリフTrackを選択して以下のActionを実行することで、選択したセリフTrackの情報をCSVファイルに書き出すことが出来ます。

[PeloReaper] VOICEVOX: Save selected dialogue tracks to csv file...

逆に以下のActionでCSVをインポートすることも可能です。

[PeloReaper] VOICEVOX: Create dialogue empty items from csv file (CSV: UTF8/ShiftJIS)...

これらのActionを使うことでセリフTrackの情報を読み書き出来るので、セリフの台本をREAPER上で作ったり、CSVをExcelで編集することで作ったりと、方法を自由に選択出来るようになっています。


セリフTrack上のEmptyItemをGUIで編集

セリフTrackをセットアップ(Track名にSpeakerID設定)してそこにEmptyItemを配置した後、EmptyItemのセリフや音声合成パラメータをGUIで編集することが出来ます。編集したいItemを選択して、以下のActionで編集を開始します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Edit item notes and select speaker(track name) with dialog...
VVEditNotesGUI

SpeakerID、セリフ、音声合成パラメータ(Optional parameters)を設定して [Done] ボタンをクリックするだけです。

ここで設定したSpeakerIDは、このItemのあるセリフTrack名に設定されます。

また、IntonationなどのOptional Parametersを編集すると、Item Notesに制御構文が埋め込まれます。字幕などを作成する際に、これらの構文が邪魔になる場合は以下のActionで制御構文のみを削除できます。

[PeloReaper] VOICEVOX: Remove VOICEVOX control lines from item notes of selected items
VVRemoveCtrlLines

VOICEVOX Editorが読み書きできるテキストファイルを扱う

VOICEVOX Editorはテキストファイル(中身はCSVファイル)を読み込んで、話者・スタイル・セリフを一括インポートする機能(逆に書き出す機能も)を搭載しています。

PeloReaperではセリフTrackをこの形式でエクスポート・インポートするための、以下のActionも実装しました(使い方はセリフTrackのCSVエクスポート・インポートと同様)。

[PeloReaper] VOICEVOX: Save selected dialogue tracks to csv file (for VOICEVOX Editor)... [PeloReaper] VOICEVOX: Create dialogue empty items from csv file (CSV: UTF8/ShiftJIS, VOICEVOX Editor Text)...

VOICEVOX Editor側で音声を細かく調整したいという場合等に使うと便利です。


別のPCで実行しているVOICEVOX ENGINEをTTSサーバとして使用

これは上級編の内容になるのでここでは割愛しますが、PeloReaperのマニュアルに解説がありますので、興味のある方はそれを見てトライしてみてください。

PeloRaperのマニュアルは以下のActionで表示することができます。

[PeloReaper] Misc: Open PeloReaper document (ExtensionGuide: Japanese/English)

音声の調整について

音声の調整についてはREAPER上で出来ませんが、今のところ以下のような使い方を想定しています。

  1. 音声合成を実際にやってみて、読み方がそもそもおかしいとかイントネーションがおかしいといった場合は、VOICEVOX Editorのユーザー辞書登録(設定>読み方&アクセント辞書)で調整する(大抵の他のTTSソフトでもこの辞書育成が肝になっているので、慣れている人にとってはお馴染みかと思います)。
  2. どうしても細かい発音調整が必要なセリフに関してのみ、VOICEVOX Editorでセリフ入力&調整してwavを書き出し、手動でREAPERにインポートする。

そのうちもうちょっと良いワークフローが思いつくかもしれませんが、現状での筆者の利用方法想定は上記のような感じです。


おまけ:動画に字幕・テロップを簡単に付ける

VOICEVOXで声をあてて何かの簡単な解説動画を作るような場合、更に手っ取り早く字幕を付けたいと思うことも多いでしょう。それをサポートする機能がPeloReaperにありますので、こちらの記事もどうぞ。


使い方を紹介した動画

VOICEVOXをREAPER上で動作させる方法について、いくつかの機能を説明した動画を作成しましたので、こちらもご覧下さい。



最後に

VOICEVOXについては自分もまだ触り始めたばかりですが、非常に便利で発音も思った以上に良くて今後重宝しそうです。キャラクターも豊富ですし(ただしライセンス内容把握は必須)、某動画サイトなどで解説動画作ったりしている人には強力な味方となりそうです。

REAPER上でサクっとVOICEVOXを呼び出せたら作業が楽になるかなー、と今回の機能を実装してみましたが、興味のある人に使ってもらえたら嬉しいです。


このブログについて
ぺろりがREAPERで遊びたいというだけのブログかもしれない

必ずこちらをお読みください

twitter: @pelori

管理人用
  • ライブドアブログ