使い方

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REAPERで鳴らした音を切り取って使うのが便利なGlobal Sampler

初稿:2023/08/12 21:09 - 最終更新:2023/08/16

今回は表題のとおり、鳴らした音を切り取ってすぐにItem化して使えるGlobal Samplerというスクリプトを紹介します。


Global Samplerとは

GlobalSampler01

Global Samplerは無料で利用できるREAPERスクリプトで、常時録音を行ってくれる機能です。過去1分間くらいの録音が残っている状態になり、そこから自由に切り抜いてItem化することが可能です。

REAPERには録音機能やレンダリング機能がありますが、それよりも気軽に「今鳴らした音良かったので切り取っておくか」みたいなことが行えるので、非常に便利です。


インストール方法

インストール方法はreapackでインストールするだけなので簡単ですが、この機能は他のREAPER Extension(拡張機能)に依存するため、それらもインストールするのが必須となります。以下の手順でインストールすればOKです。

  1. SWS Extensionをインストール
    こちらからインストーラーをダウンロードしてインストールするだけです。
  2. Reapackのインストール
    インストール方法(及びReapackの使い方)はこちらをご覧下さい。
  3. js_ReaScriptAPI Extensionをインストール
    Reapackにデフォルトでこの機能のリポジトリは登録されているので、リポジトリ登録は必要ありません。メニューの [Extensions>ReaPack>Browse packages..] から、"reascript api"といった名前で検索すれば見つかるので、これをインストールします。
    Reapack_ReascriptAPI
  4. Global Samplerをインストール
    Reapackで以下のURLをリポジトリ登録(メニューから [Extensions>ReaPack>Import Repositories...)して、Reapackの[browse packages]から、"global sampler"といった名前で検索すれば見つかるので、これをインストールします。
    https://raw.githubusercontent.com/Bird-Bird/ReaScript_Testing/main/index.xml
    Reapack_GlobalSampler

Global Samplerの使い方

Global Samplerを使うには、更に以下のセットアップが必要になります。

  1. 録音したい場所(Monitoring FX)にGlobal SamplerのJSFXをインサート
    REAPERのメニューから [View>Monitoring FX] でMonitoring FXのFX Chainウィンドウを表示します。ここに以下のJSFXを挿入すればOKです。
    JS: Global Sampler [BirdBird ReaScript Testing/Global Sampler/BirdBird_Global Sampler.jsfx]
    Monitoring FXの設定はREAPERに保存され、REAPERを再起動しても残っているため、初回のみ設定すればOKです。
  2. Global SamplerのGUIを表示する
    Action Listを表示(メニューから [Actions>Show action list...])して、以下のActionを実行すればGUIが表示されます。
    Script: BirdBird_Global Sampler.lua

あとは何か音を再生するとGlobal SamplerのGUIに波形が記録されますので、その範囲をマウスドラッグで選択し、選択した範囲をArrange Viewにドラッグ&ドロップすれば、選択範囲の波形がItem化されます。

GlobalSampler01
↑ 録音した波形からItemを作成している様子


REAPER起動時にGlobal SamplerのGUIを起動する方法

Global SamplerのGUIはREAPERを落として再起動すると自動的に再表示・・・はされません。なので、毎回自分で上記のActionを使って表示する必要があります。

ただそれでは面倒なので、REAPERが起動する際に実行するActionとして登録してしまいましょう。この登録機能は上記でインストール済みのSWS Extensionにあります。やり方は以下の通りです。

  1. Action Listから前述のGlobal SamplerのGUIを表示するActionの、Command IDをコピーします。Actionを右クリックして [Copy selected action command ID] でコピー出来ます。
    GS_CopyActionID
  2. Action Listで以下のActionを実行して、出てきたダイアログに上記Command IDを貼り付けてやればOKです。
    SWS/S&M: Set global startup action

これでREAPER起動時にGlobal SamplerのGUIを表示するActionが実行されるので、毎回GUIが表示されるようになります。

ちなみにこのREAPER起動時Action実行を解除するには以下のActionを実行すればOKです。

SWS/S&M: Clear global startup action

このGUIはREAPERのDockerに入れられる作りになっているので、REAPERのメインウィンドウの上下左右の場所にくっつけておくことも可能です。


有料版のRolling Sampler

RollingSampler

Global Samplerは更にパワーアップして、Rolling Samplerという有料版が販売されているようです。

こちらはまだ使ったことがないのですが、スタンドアロン版があったり、常時録音しておくバッファの長さを変えるなどの便利なオプション機能がいろいろついているようです。


おまけ

REAPERではオーディオだけでなく、MIDIキャプチャ機能で過去にMIDIキーボードで弾いていたMIDI演奏データを復元することが可能です。以下のページにまとめてありますので、ご興味ある方はご覧になってみて下さい。


REAPERで動画の字幕を簡単に作成する方法

初稿:2023/02/03 22:30 - 最終更新:2023/02/04

REAPERで動画を作成している場合に、動画の字幕を設定するのが面倒だなーと思ったことはないでしょうか? 今回はそんな時に便利に使える、PeloReaperの機能を紹介します。


REAPERで動画に字幕を入れる機能について

REAPERでは、ItemのFX(Take FX)にVideo Processorを追加して、ItemのTake名に字幕文字列を記入することで、動画の字幕をタイムラインに配置することが出来るようになっています。

これについての使い方などは、以下の記事をご覧ください。


PeloReaperの機能でEmptyItemから字幕Itemの自動生成

PeloReaperにはVOICEVOXやVOICEPEAKといった音声合成ソフトとの連携機能が実装されており、それらを使う場合、Empty ItemのItem Notesにセリフを記入して音声合成を行うのが非常に便利となっています。

また、Empty ItemのItem Notesにセリフなどの文字列を記入すると、それがArrange View(タイムライン)上で見えるようになっています。

EditItemNotes01

これらの特性を踏まえると、字幕用に使う文字列はEmpty Itemに記載しておくというのが、最も扱いやすい方法となっているのですが、残念ながらVideo ProcessorからItem Notesを参照する方法が今のところありません(Empty ItemにはTakeも含まれていないため、そもそもVideo Processorを挿入することも出来ない)。

なので、Empty Itemから字幕用のItemとVideo Processor(Text-Overlay)を自動生成してやろうというのが結論で、以下紹介するActionでこれを実現することが出来ます。


Empty Itemから字幕用Itemを自動生成

PeloReaperの以下のActionを使用すると、選択したEmpty ItemのItem Notesを使用した、動画字幕用Itemを自動生成することが出来ます。

[PeloReaper] Misc: Generate video subtitle items from selected items' notes (Destination: VideoSubtitlesTrack)

セリフを記入したEmpty Itemを選択してこのActionを実行すると、「Video Subtitles」という名前のTrack(なければ自動生成される)に字幕用のItemが自動的に作成されます。

GenerateSubtitlesAndVP

このActionの実行時にはVideo ProcessorのText-Overlayに関するパラメータを指定するダイアログが表示されますので、そこで好みの設定にすることも出来ます(文字を大きくするなど)。

VPTextOverlaySettings

↑ これらのパラメータは、Video ProcessorのText-Overlayプリセットで利用できるパラメータなので、どんな値にするかはText-Overlayをいじってみて、好きな値を決めると良いと思います。

VPTextOverlay

字幕用Item生成時に指定するText-Overlayパラメータのリセット

字幕用Item生成時に指定するText-Overlayの設定は以前設定したものを覚えておいてくれますが、設定ダイアログの値を初期値に戻して指定したいという場合は、以下のようにActionの最後に「Reset text-overlay params」のあるものを実行して下さい。

[PeloReaper] Misc: Generate video subtitle items from selected items' notes (Destination: VideoSubtitlesTrack, Reset text-overlay params)

いろいろパラメータを変えたりした後に、やっぱり初期値に戻したいと思ったら使うとよいと思います。


字幕用Item生成先Trackを新規Trackにしたい場合

「Video Subtitles」という名前のTrackではなく、新規のTrackに字幕用Itemを生成したいという場合は、以下のActionを使用して下さい。

[PeloReaper] Misc: Generate video subtitle items from selected items' notes (Destination: NewTrack)


今回説明した機能で、一部のセリフの字幕を作り直したり、一括で全部の字幕Itemの設定を変えて作り直したりということが出来るため、動画用の字幕を作るのが非常に楽になりました。ちょっとした解説動画などを作るのに非常に便利なので、ぜひ皆さんも使ってみて下さい。


COEIROINKなどVOICEVOX派生ソフトとREAPERで簡単に音声合成する方法

初稿:2022/12/14 20:00 - 最終更新:2023/11/20

VOICEVOXDerivedSW01

COEIROINKLMROIDSHAREVOXITVOICE、などなど、最近VOICEVOX派生の音声合成ソフトウェアがどんどん増えてきていますね。自分もあまり細かく調べているわけではありませんが、それぞれが独自の音声合成方式を実装しているようです。

これらのソフトはVOICEVOX EditorやVOICEVOX Engineのソースを改造して使っているっぽい感じがしますが、「それならPeloReaperのVOICEVOX Integrationからでも利用できるのでは?」と思い、試してみると普通に使えました(とはいえ非公式な方法ですが)。

ということで今回は、VOICEVOX派生ソフトを併用する方法を紹介します。


PeloReaperのVOICEVOX Integrationってなに?

PeloReaperのVOICEVOX IntegrationはREAPER上でVOICEVOXおよびその派生ソフトを連携させるためのExtension機能(REAPERプラグイン)のことです。

PeloReaperのVOICEVOX Integrationについてまだご存じない方はこちらを参照してください。



PeloReaperでVOICEVOX派生ソフトウェアと連携する方法

接続先ポート番号について

VOICEVOX Editorを起動すると「エンジン起動中」といった表示が出ますが、内部的にはVOICEVOX Engineという音声合成サーバーが起動しています。VOICEVOX派生ソフトでも同様にサーバーが立ち上がるのですが、そのサーバーに接続するためのポート番号がそれぞれ個別の番号になっています。

ポートとはなんぞやとかよくわからなくても大丈夫です。要するにそのポート番号を切り替えることで、対応するVOICEVOX派生ソフトに接続することが出来るというイメージで問題ありません。

調べてみたところ、現状以下のようなポートが使われているようでした(2022年12月14日現在)。

ソフトウェアVersionポート番号
VOICEVOX 0.13.350021
VOICEVOX Nemo ※2 0.14.1050121
COEIROINK ※1 1.6.050031
LMROID1.350073 → 49973(LMROID Engine)
SHAREVOX0.1.750025
ITVOICE1.0.149540

PeloReaperのVOICEVOX Integrationでは、外部接続設定として接続先のポート番号を指定できるので、そこで上記のポート番号を指定するだけで対応するソフトに接続して音声合成を行うことが可能です。

※1:COEIROINKはCOEIROINK v2からVOICEVOX関連機能を使わない独自路線のソフトに変更になったので、VOICEVOXと連携できるのはv1.xまでのようです(2023/07/31現在)。

※2:(2023/11/20追記)VOICEVOX Nemoを追加しました。


接続先ポート指定方法

以下のActionを実行して、VOICEVOX Settingsウィンドウを表示します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Show VOICEVOX ENGINE settings window...

ここではCOEIROINKに接続する場合の設定を行ってみます。

  1. [Use External Server] にチェックを入れる
  2. [IP Address] は localhost のままでOK(自分のPCのことを指している)
  3. [Port Number] にCOEIROINKのポート番号「50031」を入力
  4. [Save] ボタンで設定を保存

VVE_ExtSettings01

これで完了です。接続先がCOEIROINKに切り替わりましたので、あとはVOICEVOX Integrationの機能をそのまま利用して音声合成を行えます。簡単ですね。

TTSWithCoeiroink01
↑ COEIROINK側のSpeakerが使えるようになっている例


接続先設定を登録しておいて瞬時に切り替える方法

接続先の登録・接続先切替方法

上記の通りVOICEVOX Settingsウィンドウを表示して毎回ポート番号を入力してもいいのですが、複数のVOICEVOX派生ソフトを併用している場合はちょっと面倒ですね。そこで接続設定を登録しておいて、Actionでそれらを切り替える機能を用意しました。

まず以下のActionを実行して、外部接続設定を登録します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Set VOICEVOX ENGINE external connection settings (Slot: 01~05)

VVE_ConnectionSettings01
↑ COEIROINK用に設定してみた例

  • Name
    接続設定の名前(任意の文字列)
  • IP Address
    localhost のままでOK
  • Port Number
    接続先ポート番号を指定

登録した接続設定に切り替える場合は、以下のActionを実行します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Apply VOICEVOX ENGINE external connection settings (Slot: 01~05)

複数の接続設定を登録しておけば、いつでも接続先を切り替えられて便利です。ツールバーに登録しておけば、ボタンクリックで一発切替というのも可能です。


登録した接続先設定の一覧表示

登録した設定は以下のActionで一覧表示出来ます。

[PeloReaper] VOICEVOX: Show all VOICEVOX ENGINE external connection settings...
VVE_ShowAllConnections01

接続先をVOICEVOXに戻す

外部接続設定を無効にして、VOICEVOXへの接続に切り替えたい場合は以下のActionを実行します。

[PeloReaper] VOICEVOX: Disable VOICEVOX ENGINE external connection...

この他のやり方として、VOICEVOXの接続先ポートは分かっているので、VOICEVOX用の接続設定を登録しておいて、前述のActionで切り替えるという方法でもいけます。


VOICEVOXのマルチエンジン対応について

VOICEVOX 0.14.2で試してみたところ、VOICEVOXのマルチエンジン機能を使った場合も、VOICEVOXに登録したエンジン(音声合成サーバー)を複数起動した状態になっているようでした。なので、従来通り複数のエディタを立ち上げているような状態になっているので、本記事で紹介しているPeloReaperのポート切替関連の機能が有効に動作します。


VOICEVOX派生ソフトウェアのポート番号を調べる方法

今後まだまだVOICEVOX派生の音声合成ソフトウェアが出てきそうではあります。新しいソフトが出てきた場合に「ポート番号がわからない!」となりそうなので、調べる方法を一つ書いておきます。

ポート番号を調べる方法は簡単です。VOICEVOX派生ソフトをインストールした場所に run.exe という実行ファイル(音声合成サーバー起動用)がありますが、これを起動してあげれば以下の画像の例のようにポート番号が表示されます。

RunExePort01

ポート番号をメモしたら、[Ctrl+C]で run.exe を終了させておきましょう。


注意点など

上記の方法で、非公式な方法ですがVOICEVOX派生ソフトにもVOICEVOXと同様にアクセスして音声合成を行うことが出来るようです。これは今のところVOICEVOX派生ソフトを作っている開発者が、VOICEVOX EngineのAPIの互換性を保っている(おそらく手を加えていない)から成立している状況であって、今後どうなるかはよく分かりません。

今回紹介した方法もいつまで大丈夫か分かりませんし、そのうち接続用のインタフェース(API)を独自のものにしたVOICEVOX派生ソフトが出てきて「接続できない!」となるかもしれませんが、まぁそうなったらその時どうするか考えることにします。

今は便利な状況が続いているので、その間は存分に利用させていただきましょう。


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