使い方

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REAPERで演奏していたMIDIをItem化するMIDIキャプチャ

今回はいわゆる「MIDIキーボードで今演奏したやつすごくうまく弾けたけどレコーディングしてなかったああぁ!」を救ってくれる、MIDIキャプチャ機能の紹介です。



MIDIキャプチャ機能とは

REAPERではTrackのArmをONにして録音待機状態にすると、MIDIコントローラでVSTiなどのインストゥルメントを演奏して音が出せますが、毎回必ずレコーディングしながら演奏するかというとそうでない人も多いかと思います。

ただし、レコーディングしていないと演奏していた情報は残らないために「あぁ、さっきのいい感じに弾けたからレコーディングしておけばよかった!」となることも多いでしょう。

ところがREAPERではバックグラウンドでMIDI演奏をレコーディングしてくれていて、「今のよかったな」と思ったら、それをMIDI Item化して演奏データを復元することが出来ます。便利ですね。

この機能はREAPERより以前に、確かAbleton Live 10あたり(?)で実装されて少し話題になった記憶があったのですが、REAPERではしれっとv6.67あたりで機能が入ったものの、自分の視野の範囲内では特に騒がれずに過ぎてしまっていた気がします(個人的には興奮気味でしたが)。

また、REAPER公式では特にこの機能を「MIDIキャプチャ機能」とは言ってない(多分「Retroactive MIDI Recording」という機能)ですが、Ableton Liveの前例もあり分かりやすい用語として、以下も「MIDIキャプチャ」と勝手に言うことにします。


MIDIキャプチャ機能の使い方

基本的な使い方

MIDICapture01

使い方は簡単で、以下の手順で過去に演奏したMIDIをItem化出来ます。

  1. TrackのArmをONにしてVSTi等を演奏できる状態にし、MIDIキーボードで好きなように演奏します。この際、演奏したMIDIデータはバックグラウンドで記録されています。
  2. Item生成先のTrackを選択して、以下のActionを実行すればMIDI Itemが出来ます。
    MIDI: Insert recent retroactively recorded MIDI for armed and selected tracks
    この際、選択するTrackと演奏していたTrackは特に関係性がないので、単純に生成先を選ぶだけだと考えれば良いでしょう(複数のTrackを選択して生成すると、同じ内容のMIDI ItemがそれぞれのTrackに生成されます)。

MIDIキャプチャ用のAction

MIDIキャプチャ用のActionとしては、以下のものがあります。

  • 直前に演奏したMIDIをキャプチャするAction
    - MIDI: Insert recent retroactively recorded MIDI for armed and selected tracks
    - MIDI: Insert recent retroactively recorded MIDI for armed tracks
    ちなみにMIDIキーボードでの演奏が終了してからしばらく経過すると区切られるようで、このActionでMIDI Itemを生成すると、比較的最近演奏したものだけがMIDI Itemに含まれます。
  • 今まで演奏したすべてのMIDIをキャプチャするAction
    - MIDI: Insert all available retroactively recorded MIDI for armed and selected tracks
    - MIDI: Insert all available retroactively recorded MIDI for armed tracks
    REAPERを起動してからArmして演奏したMIDI演奏データが全て含まれたMIDI Itemが生成されます。
  • 過去のMIDI演奏データをクリアするAction
    - MIDI: Clear retroactive MIDI history
    過去の演奏記録を全て破棄してしまいたい場合に使用します。

こういった機能を利用すれば、レコーディング状態にせずとも後から回収する前提でリラックスした状態でMIDI演奏出来ますね。良かったと思ったら後から回収できるというのは、シンプルですが素晴らしい発想だと思います。

あと、MIDIだけではなくオーディオも同じようなことがGlobal Samplerというスクリプトで可能なので、こちらも興味があれば使ってみる事をお勧めします(以下の記事参照)。


REAPERのチャンネルルーティング制御用FX

今回はREAPERでTrackのチャンネルを切り替えたり、チャンネルルーティング設定を行うためのFX(JSFX)を紹介します。地味なユーティリティではありますが、いざという時にかなり役立ちます。


JSFXについて

JSFXはREAPERのスクリプトベースのエフェクト機能で、VSTなどのエフェクトと同様に扱えるものです。FX挿入時に、[All Plugins] か [JS] という項目の中にあります。

AddFX_JSFX

Channel Mapper-Downmixer

ChannelMapper01

これはいわゆるChannel Matrixで、各入力チャンネルを任意の出力チャンネルに出力することが出来ます。以前こちらの記事で紹介したMeldaのプラグイン、MChannelMatrixと同じような機能ですね。

基本的な使い方はTrack FXに以下のJSFXをインサートして、チャンネル入出力のチェックを設定するだけです。

JS: Channel Mapper-Downmixer (Cockos) [utility/channel_mapper]

信号の流れはマトリックスの上から入力音声が入ってきて、チェックを入れた場所から右側へ出力されていくという感じです。音声を流すと、■の中に音量を表す緑色の点が表示されるので、分かりやすくなっています。

ChannelMapper_InOut

いくつかオプション設定などもあるので、順に見ていきましょう。

  • Channels:チャンネル数
    Trackのチャンネル数設定です。変更すると実際にTrackのチャンネル数が変更されます。
  • Unmapped outs:出力へマッピングしなかったチャンネルの扱い
    出力チャンネルに何もルーティングしなかった(横方向に全くチェックが付いていない行)場合に、何の音声を出力するかを選ぶことが出来ます。
    • Pass through
      その出力チャンネル番号に対応する入力チャンネルの信号をそのまま流します。つまり出力2chであれば、入力2chの音声が出力されます。
    • Zero out
      そのチャンネルからは何も出力されないため、無音となります。
  • Downmix:Downmix時の音量オプション
    同一の出力チャンネルに複数の入力チャンネルがルーティングされた場合、それらの音がDownmixされて出力されますが、その際の各入力チャンネルに適用される音量調整値を設定できます。
    • None
      音量調整を行いません。
    • Shared ins -3dB
      音量調整値として-3dBが適用されます。
    • Shared ins -6dB
      音量調整値として-6dBが適用されます。
    • User mix
      音量調整値を入力チャンネル毎にスライダーで調整出来ます。
  • Reset
    各種設定を初期設定に戻します。
  • Clear
    マトリックスのチャンネル指定のチェックを全て外し、User mixの値も全てクリアします。

Channel Router

ChannelRouter

Channel Routerは、入力チャンネルのペア(1ch+2chなどのステレオ信号)を別の出力チャンネルのペアに流す機能です。以下のJSFXをインサートして設定を行います。

JS: Channel Router w/Polarity [IX/PhaseAdjustingRouter]

各種設定項目は以下の通りです。

  • Input Channels
    入力チャンネルのペア指定。
  • Polarity Mode
    ステレオのどのチャンネルを反転させるかで、Normalは反転なし。
  • Output Channels
    出力先チャンネルのペア指定。
  • Output Mode
    出力先チャンネルに流れている信号とのMix方法。
    • Replace
      [Input Channels] の信号で完全に置き換えます。
    • Merge
      元から流れている音声と [Input Channels] の音声がMixされて出力されます。

8-Channel Input Switcher

8ChannelsInputSwitcher

これは8チャンネルを使用した4つのStereo音声のどれか一つを選んで出力するというSwitcherです。各ステレオ入力の音量も調整できます。以下のJSFXをインサートして設定を行います。

JS: 8-Channel Input Switcher [IX/Switcher2]

各種設定は以下の通りです。

  • Output Source
    出力するStereoペアのチャンネルを指定できます。
  • Level 1+2/3+4/5+6/7+8 (dB)
    各Stereoペアの音量調整が可能です。


これら以外にも、REAPERのJSFXにはチャンネルに対する操作を行うFXがありますので、いろいろと試してみると新たな発見があるかもしれません。


MeldaのMChannelMatrixでチャンネルルーティング

MeldaProductionが出しているフリーのプラグインバンドルMFreeFXBundleには、いろいろと便利なプラグインが含まれています。今回はその中の一つMChannelMatrixを紹介します。


MChannelMatrixについて

MChannelMatrix01

MChannelMatrixはMeldaProductionから無料配布されているプラグインで、入力オーディオのチャンネルを指定のチャンネルに切り替えて出力するプラグインです。例えば、2chのステレオオーディオなら、LとRを入れ替えるとか両方のチャンネルをLの音にするとかいったことが可能です。

ステレオ入出力だけでなく8chなどのマルチチャンネルにも対応していますので、例えば2chの音源を4chの各チャンネルに振り分けたり、特定の目的で(例えばサラウンドのチャンネル順の修正等)チャンネルを入れ替えたりといった様々な用途に利用出来ます。

↓ MeldaProductionのMChannelMatrixについてのページはこちら

プラグインのインストール方法

MeldaのプラグインはMeldaProductionのDownloadページにあるインストーラーを使ってインストールします。インストーラーは1種類しかなくて、それにすべてのプラグインが含まれています。

インストールの途中でどのプラグインを入れるか指定するところがあるので、そこでMFreeFXBundleをクリックしてやれば、フリーのプラグインが選択されてインストールされます。

インストール方法の詳細は過去にまとめてあるのでそちらのページをご覧下さい。


MChannelMatrixの使い方

ここではREAPERでどのように使うかを示します。

基本的な使い方

MChannelMatrixの使い方は簡単で、Track FXにインサートして、入出力チャンネルの対応付けチェックを設定するだけです。

マトリックスの見方は、左側から各チャンネルの入力音声が入ってきて、チェックを入れたところから下方向の出力先チャンネルに出ていくという感じです。縦一列に全くチェックが入らない場合、そのチャンネルからは何も出力されないことになります(そのチャンネルが無音になる)。

MChMtx_InOut

[Volumes]というところをクリックすると、マトリックスに出力音量設定が表示されます。音量もここで調節したいという場合に使用します。

ChMtx_Volumes

SIDE-CHAIN側のマトリックスで、サイドチェイン入力についてもチャンネルルーティングを行えますが、普段滅多に使うことはないでしょう。


マルチチャンネル(サラウンド)での使い方

マルチチャンネルの場合2chより多くのチャンネルを使用するため、Trackのチャンネル設定などいくつかセットアップする必要があります。例えば8チャンネルを使用する場合、以下のような手順でセットアップします。

  1. Trackのオーディオチャンネル数設定
    Trackの[Route]ボタンをクリックし、[Track channels]を8に設定します。
    TrackCh8
  2. FXへの音声入出力ルーティング設定
    MChannelMatrixのFXを表示した状態で、FXウィンドウ上部の [8/16 in 8out] をクリックして、プラグインの入出力設定を行います。通常はデフォルトで以下の画像のように正しく設定されているハズなので、ここでは確認するだけです。
    TrackFX_InOut
  3. MChannelMatrixのサラウンド機能有効化設定
    MChannelMatrix右側のプラグインツールバーにある、Channel Modeでサラウンドを有効化([Activate Surround]で有効化し、一旦DAWを再起動する必要あり)して、その後Channel Modeを [Surround] にします。
    このプラグインツールバーのChannel Mode設定方法についてはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみて下さい。
    MChMtx_ChModeSurround
    サラウンドに切り替えるとこうなります。
    MChMtx_Surround

これでセットアップが完了したので、MChannelMatrixをマルチチャンネルで使用できます。使い方はチャンネル数が増えただけで、ステレオの時と変わりません。


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