REAPERには「Batch File/Item Converter(以下Batch Converter)」というツールが付属しており、音声ファイルのコンバート(.wav→.mp3など)を簡単に行えるようになっています。

BatchConv01

基本的な使い方

Batch ConverterはREAPERのメニューから [File>Batch Item/File Converter] で起動できます。

コンバートしたいファイル・Itemをリストへ登録

wavファイルなどをコンバート指定場合は、WindowsのExplorerからファイルをリストにドロップするだけでコンバート予定の一覧に登録されます。

REAPERのアレンジビュー上で選択したItemを登録することも出来ます。この場合はItemを選択後、リストの下にある [Add...] ボタンをクリックし、出てきたコンテキストメニューから [Add selected media item(s)] を選べば一覧に登録されます。

ただしItemをコンバートする場合は、Itemの範囲で区切られた部分がItemのTake FXも適用された状態でコンバートされるようです。この際Itemが所属するTrackのTrack FXは適用されないようなので、レンダリングの替わりとして使いたいといった場合は注意が必要かもしれません。


出力先の指定

Outputグループのところで出力先フォルダやファイル名の設定を行います。

BC_OutputGrp
  • Directory
    出力先フォルダ指定(指定フォルダが存在しない場合は自動的に作成されます)
  • Use source file directory
    コンバート元のファイルと同じ場所に書き出したい場合にチェックを入れます
  • File name
    ファイル名をカスタマイズしたい場合はここで指定できます。通常はデフォルトの
    $source
    のままで問題ないでしょう(元のファイル名と同じ、という意味)。$で始まる文字列はワイルドカードというもので、コンバート時にDAW上の情報などに置き換えられます。

オプション設定

リサンプリングやコンバート時にかける追加のエフェクト、Metadataなどの設定が行えます。特に何かを変えたいということがなければ、デフォルトのままで問題ないかと。

BC_Options
  • Use FX / FX chain...
    コンバート時にエフェクトも一緒にかけてしまいたい場合、これにチェックを入れて [FX chain...] ボタンでエフェクトを設定します。
  • Tail size (ms)
    FXを挿入する場合に、もとの音声の最後からもう少し長くした状態でコンバートするのに使用します。これはDelayやReverbなどのTailも含めたいという場合に便利な機能です。
  • New metadata... / Add new metadata
    Metadataを新しく追加する場合に使用します。
  • Preserve original file metadata if possible
    コンバート元ファイルにMetadataが含まれる場合、コンバート後のフォーマットで受け取れるような情報であれば出来るだけMetadataを維持できるようにコピーしてくれる機能です。効果音ライブラリなどでwavファイルに含まれるタグなどを可能な限り引き継いでくれるようです。
    BC_PreserveMetadata01
    ↑ Flacのコメント情報にタグが移行された例

出力フォーマット設定

Output format 以降の設定はどのようなファイルフォーマットにコンバートするかの指定です。ここは指定したいフォーマット毎に設定が異なるので、各種フォーマットの詳細情報を調べてみて下さい。

BC_OutFormat01

あとはBatch Converterウィンドウ右下の [Start Convert] でリストに登録されたファイル一覧が全てコンバートされます。


コンバート設定のプリセット

コンバート設定をプリセットに保存して後から呼び出すことが出来ます。コンバートするファイル一覧の右下に [Presets] というボタンがあり、クリックするとコンテキストメニューが表示されるので [Save preset...] を選ぶと名前を付けて保存できます。

BC_Preset01

プリセットを呼び出す場合は上記のボタンをクリックすると保存したプリセットが並んでいるのでそれを選ぶだけです。

コンテキストメニューの[Delete preset]から指定のプリセットを削除することも可能です。



比較的最近のアップデートでコンバート時にMetadataも引き継げるようになり、筆者はwavファイルをflacにコンバートするといった用途で利用する機会が格段に増えました。以前はwavのメタデータをflacにコピーするのにkid3(CUI版)などのツールを駆使するしかなく、そっちのワークフローを整えてバッチ処理するといったことをやっていたのですが、REAPERのBatch Converterが改良されたおかげで楽になりましたね。