ドラムループなどの録音された音声素材から音が鳴るタイミングなどを抜き出して別の音に差し替えたい、といった場合どうしていますか? このような場合は音声をMIDIに変換してみるのも一つの手です。
REAPERで音声をMIDIに変換する方法はいろいろありますので、何回かの記事で紹介していこうと思います。今回はドラムループのサンプルをMIDIに変換する方法の一例を取り上げてみましょう。
音声の音が大きくなったタイミングをMIDIに変換
ドラムなどのパーカッシブな音声を簡単にMIDIに変換する方法の一つがこの方法です。ここではREAPER付属のReaGateというFXを使って、MIDIに変換してみます。
ReaGateについて

ここではあまり詳しく説明しませんが、ReaGateはいわゆるゲートエフェクトです。指定の音量(閾値)より小さい音はカットして閾値より大きい音だけを通します。
ReaGateへ入力された音声の音量が閾値を超えるとゲートが開き(Open)、その後閾値より音量が下がるとゲートが閉じる(Close)という感じです。ReaGateにはこのOpen~Closeに対してMIDI Noteを発行する機能がついており、これを使って音声のMIDI化を行うことが出来ます。
ReaGate一番下にある [Send MIDI on open/close] のチェックを入れるとMIDI発行がONになり、発行するMIDI Note番号(Note)、MIDIチャンネル(Channel)も指定できます。

FXの設定方法
ドラムループのwavファイルでItemを1つ作り、そのItemのTake FXとしてReaGateを挿入します。
ReaGateで前述のMIDI発行のチェックをONにします。それ以外は、基本的には音声信号の音量が大きくなる部分を捉えられればよいので、自分で欲しいタイミングのところが捉えられれば閾値(一番左のフェーダー)だけ設定して終わりでも構いません。ここではいくつか知っておくとよさそうな事をいくつか書いておきます。
- 不要な周波数帯はカットしておくなど適切な前処理をしておくと、閾値の調整がやりやすくなります。ReaGateの前にEQをかけたり、もしくはReaGate下部にある[Lowpass], [Highpass]で音量検出(Detector)に使用される波形を削ることも出来るのでそれを使ってもよいでしょう(右の方にある [Preview filter output] でこのフィルタをかけた音を聴いて確認出来ます)。
- Stereoの波形を使っていて左右の音に多少ずれがあったりして調整が難しいという音源の場合は、片方のチャンネルだけを入力に使う([Detector input]を例えば [Main input L] などにする)。
- Envelopeの[Hold]や[Release]を少し伸ばしてやると、発行されるMIDI Noteの長さも長くなる(やり過ぎに注意)
MIDIをバウンスしてMIDI Item化
上記設定がうまく出来ていればドラムループのItem再生時にMIDI Noteが発行されるので、他のトラックにSendしてMIDI録音するとかでもいいのですが、ここではもっと楽な方法を使います。

ドラムループのItemを右クリックして [Apply track/take FX to items as new take (MIDI output)] を実行すると、ドラムループのItemに新しいMIDI Takeが作成され、そこにReaGateが発行したMIDI Noteが記録されます。要するにMIDIバウンス機能ですね。
([Item: Apply track/take FX to items (MIDI output)] というActionでも実行可能)

この生成されたMIDI TakeをダブルクリックすればMIDI編集出来ますので、必要に応じてNoteをクォンタイズ等でタイミング調整してやればOK(クォンタイズはNoteを選択してQキー)。
これで音声のMIDI化作業は完了です。
ついでに音も鳴らしてみる
あとはこのドラムループから作ったMIDI ItemのあるTrackにVSTiなどを挿入してやれば音を鳴らせます。以下の手順で ReaSamplomatic5000 を挿入して自分の好きな音を鳴らしてみましょう。
- Track FXに [ReaSamplomatic5000] を挿入
- 自分の好きなwavをドロップして、使用する波形の範囲やエンベロープ等の設定
- Modeは [Sample (Ignores MIDI note)](デフォルト)に設定
(これはMIDIのNote番号が何番であってもとにかく鳴らすという設定)
あとは再生すればMIDI Noteのタイミングで音が鳴ります。
説明は長くなってしまいましたが、一度理解してしまえばサクっとすぐ出来るようになるかと思います。今回紹介した手法は応用範囲が広いので、是非やり方を覚えて活用してみて下さいね。
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