今回はFalconのEffect Rackを紹介します。
Effect Rackとは
FalconのEffect Rackは簡単に言うと、複数のエフェクトチェインを作ってまとめて1つのエフェクトモジュールとして扱えるものです。必要なパラメータだけをEffect Rack Macroとして表示も可能で、複雑なエフェクトチェインをコンパクトにまとめるのに適しています。
基本的な仕組みは次の通りで非常にシンプル。
- Effectのチェインを複数作れる
- 入力波形はすべてのチェインを通って並列に処理され、最後に足し合わされて出力
Effect Rackを使用すると、以下のようなエフェクトを作ることが出来ます。
- パラレル処理
複数のチェインを使ってパラレル式のエフェクトが簡単に作れます。
↑プリセットにあるParralelXpander - マルチバンド処理
Crossover Filterを使ったマルチバンド処理を作成することが可能です。マクロで複数のチェインのクロスオーバー周波数を動かすセットアップが面倒なので、プリセットTemplateにある[2 Bands Chain]や[3 Bands Chain]を使うと楽です。
- MS処理
プリセットにMaxMSというMS処理を使ったMaximizerがあります。プリセットTemplateにある[MS dual chain]を使えば一からMS分離系のエフェクトを作成する事も可能です。
他にもアイデア次第で特殊なエフェクトを作れるかもしれません。チェイン数も特に縛りがないようなので、CPU負荷が許す限り追加していけます。
Keygroupにインサートする場合の注意
Effect Rackに限ったことではありませんが、Keygroupでは利用できるエフェクトに制限があります。例えばDelayやSparkVerb、Modulation(Chorus等)など、挿入出来ないものが結構あります。恐らくVoice毎に処理すると重くなりすぎてしまうなどといった問題があるものは使えないようにしているのだと思われます。
↑KeygroupのEffectは所々グレーになっていて使えないものがある
ところがEffect RackをKeygroupに挿入する場合、GUIの操作の上ではEffect RackのChainに何でもエフェクトを挿入出来てしまいます。ただしエフェクトが挿入出来ても動作はしないようなので注意。Keygroupで使えないものは動作しないので、本来そのEffect Rackのセッティングで実現しようとしていた効果とは違ったものになってしまう可能性があります。
まぁKeygroupのインサートエフェクトで無茶すんなよ、ってことですかね。処理負荷無視(当然諸々理解した前提)でなんでもかんでも挿入出来たらそれはそれで面白い効果が作れそうなので、ちょっと期待したんですが致し方なしですね。
Effect Rack MacroとGUI
Effect Rackが独自のMacro(Effect Rack Macro)を持てることについては少し触れましたが、これはいわゆる音色のINFOタブに表示されるものではなく、Effect Rackモジュール自体に表示されるもののことです。Effect Rack内のエフェクトの調整用に表に出しておきたいパラメータだけを表示出来るので、自作のEffect Rackを後で使うのが容易になります。
また、Effect Rack Macroとして表示しているノブなどの配置を自由にいじることも可能です。[Ctrl + E]で編集モードが切り替わります。プリセットにあるFuzz4などはGUIもきちんと作られていますね。背景も画像ファイルをドロップして画像を表示出来るので、好きなようにデコれます。
↑EditModeに切り替えた状態
再利用するために自作したEffect Rackが出来たら、GUIも整理して後から使いやすいようにしておきたいですね。
Edit画面の整理にも役立つ?
FalconのEDIT画面でエフェクトを沢山挿入する場合、数が多くなりすぎると画面に収まりきらなくなります。端のエフェクトをクリックしていけば最後まで見ることは出来ますが、それが煩わしくなってくるようであれば、Effect Rackを追加してそこにある程度まとめてしまうのも一つの手です。
ただし、EDIT画面で直接個別のEffectを弄れなくなるので、便利になるかは使い方次第といったところでしょうか。エフェクトをEffect Rackに一括コピーするのであれば、EFFECTタブを表示して、Multi FXのコピペ機能を使うと便利です。
Effect Rackは工夫次第で結構いろいろなことが実現出来るので、是非使ってみて下さい。一見難しそうに見えるかもしれませんが、Falconのマニュアルに簡単な1ページのチュートリアルがあるので、それをやってみるだけでも概ね使い方が掴めると思います。
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