UVI Falconのあまり語られない機能を紹介していくこのコーナー(?)
今回はFalconのプリセットまわりの仕組みを取り上げようと思います。
Falconのプリセットの仕組み
*「はぁ? プリセット?
そんなのいつも使ってるよ! 一覧から音色選ぶやつでしょ?」
と思うかもしれませんが、Falconのプリセット機能全体から見るとそれはほんの一部でしかありません。
Falconでは音色(Program)切り替えだけでなく、Oscillator、Effect、Modulationなどといった個別のモジュールにもプリセット選択機能が付いています。モジュールによってファクトリプリセットの数はまちまちで、プリセット0個のものから、かなりの数のファクトリプリセットを持つものまで存在します。今回は具体的なプリセット紹介とかやりませんが、一通りチェックしておくとよさそうです。
↑ モジュール右上のプリセット一覧から選択出来る
もちろん、ファクトリプリセットを使うというだけでなく、自分で作った設定を保存しておけるユーザープリセットの機能も搭載しています。
ではFalconで扱える(Save/Load可能な)プリセットの種類をざっと見てみましょう。
- multiプリセット
音色Partを複数まとめたもの。NI KONTAKTを使ったことがある人なら似た仕組みがあるので分かりやすいかと。 - Programプリセット
いわゆる音色切り替えで扱うプリセット(多くのプラグインシンセの音色プリセットに相当) - Keygroup User Template
単体保存のみだがKeygroupを保存しておける。選択Keygroup右クリック>[Save Keygroup Template]で保存すると、MAPPING右クリックでUser Templateから選べるようになる - あらゆるモジュール毎のプリセット
Oscillator、Effect、Modulationなどそれぞれのモジュール単位で個別にプリセットが作れる。 - マルチエフェクト(mfx)
EFFECTSタブで複数のエフェクトをまとめて保存しておき、後で全部いっぺんに追加が可能。Effect関連でいうとEffect Rackという別の仕組みもあるが、これは単品モジュールと同じ扱いでいける。
多くのプラグインシンセでは音色単位のプリセット保存が出来ますが、Falconでは様々な階層やグループ等で部品をプリセット化しておけることが分かりますね。
ではこのあたり他のシンセと比べて良さそうな点を挙げてみると、
- 自作の音色で、後々使いまわしたいところだけを分解して部品ごとに再利用可能
- Expansionなどの音色から例えばReverbの設定だけ保存しておいて使いまわせる
- エフェクト等のモジュール毎に特定用途の設定を作りためておくことが可能
- MultiEnvelopeのような複雑なモジュレーションカーブもそれ単品で使いまわせる
- Keygroup User Templateを充実させておくと音色を一から作る時に明らかに時短
- multiでレイヤー化もしくはマルチ音源化した音色も取っておける
などなど、結構なメリットがあります。とにかくあらゆるモジュールが再利用可能と考えると、Falcon Expansionの音色を観察する見方も変わってくる気がします。EffectやらOscillatorやらのよさげな設定とかあったらプリセット保存して集めておくのもアリかと。
Falconはルーティングが非常に簡易化されていることを除けばいわゆるモジュラーシンセみたいなものなので、自然とこういう仕組みが組み込まれたのかもしれません。このようなプリセットの仕組みを活用してユーザープリセットを充実させていけば、一から音色を作っていく作業も楽になっていきますし、使えば使うほどあらゆる作業が効率化していけることが分かります。
ユーザープリセットの階層化
とにかく部品ごとにプリセットが作れるというだけでありがたいのですが、Falconは更にプリセットの階層化に対応しています。要するにフォルダ分けしてプリセットを整理しておけるのですが、更に階層もどんどん深くしていくことが可能。なんなんだこいつは(歓喜)
FalconのユーザープリセットはWindowsだとユーザーのドキュメント以下の UVI/Falcon/User Presets に保存されています。例えばAnalog Filterなら FXs/Analog Filter にあります。
ここに更にフォルダを掘ってプリセットファイルを振り分けておけば、Falcon上でもメニューが階層的に表示されます。そのフォルダの中に更にフォルダを掘っていけば、Falcon上でもUser Presetの階層が深く表示されます。
↑ フォルダを掘ってプリセットを配置
↑ Falcon上でもメニューが階層化される
勿論エフェクトだけでなく、Keygroup User Templateなども同様にプリセットを階層化しておけます。グループ分類厨の人は作業が捗りますね。
ちなみにユーザープリセットもFalcon右側のブラウザに反映されて表示されるので、モジュール新規追加時にドラッグ&ドロップ出来て便利。
モジュール設定のコピー&ペースト
これまでプリセット保存、つまりはファイルに保存しておくことを中心に説明してきましたが、Falconではモジュール設定のコピー&ペーストも可能です。音色を作っていてモジュール設定を複製したくなった場合に、いちいちプリセットのファイルを保存するまでもない(将来再利用したい訳ではない)時はコピペ機能を活用しましょう。
モジュールを複製する場合は以下の手順でOK。
- コピーしたいモジュールのメニューから [Copy to clipboard] で設定をコピー
- 設定をコピーしたモジュールと同じものを新規作成
- コピー先モジュールのメニューで [Paste from clipboard] で設定を貼り付け
コピー&ペーストに関する注意点
理由は良く分かりませんが、Sampling系のOscillatorではセットした波形ファイルのパスだけがコピペされないようです。バグなのか何か理由があるのか・・・?
他のモジュールも全てチェックした訳ではないので、他にも何かコピペできないものがあるのかもしれません。あ、そういえばレイヤーだけはコピペや複製が一発では出来なそうでしたね(でも複数のKeygroupコピペ機能などがあるので困ることはない)。
今回はFalconのプリセットまわりの仕組みについて説明してみました。こういったFalconのシステム周りの具体的なメリットって、ネットやSNS・Youtube動画などを見ても、なぜかあまり語られないんですよね。でも「Falconだからこそ出来る事」というのは、地味でもこういう部分に凝縮されてたりするので侮れません。
自分がFalconを誰かにオススメする場合に、相手が音色を作ったり弄ったりするという人であれば、迷わずこのプリセットの仕組みを話しそうです。特に効果音制作などのように、理詰めで音を構成していくのには非常に相性が良いので、そういう作業をする人にはオススメですね。
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