これはいわゆるwavファイルなどの素材管理&DAWへのインポートツールです。
この手の波形素材管理ツールはフリーでもLoopmastersのLoopcloud、ADSRのSample Manager、MUTANT、有料だとBaseheadとかいろいろあるようですね。でも筆者はLoopcloudをちょこっと使ったことがある程度なのでここで比較してどうだということには触れません。
ここでは主にREAPERのMedia Explorerの使い方やいいところを紹介していこうと思います。
では早速ウィンドウの構成を見ていきましょう。

① カレントパス(現在のパス)・履歴
現在のパスかデータベース名が表示されます。
ドロップダウンでこれまでにアクセスした履歴も選べます。
② パスのショートカットやデータベースの一覧
任意のパス(自分用のお気に入り素材フォルダなど)を登録しておけます。
検索用のデータベースを好きなだけ登録しておくことも可能。
③ ファイル一覧
カレントパスにあるファイル一覧が表示されます。
④ 再生関連ボタンやインポートオプション等
後述しますが、このへんの空いてる場所を右クリックでオプションメニューも出ます。
⑤ 波形ビュー
選択したwavファイルなどの波形が表示されます。
⑥ 検索フィルタ
ファイル検索用のフィルタを入力できます。
まぁこのあたりは、解説なしでもぱっと見で大体分かりそうですね。ここからは基本的な使い方を見ていきましょう。
波形素材ファイル置き場を登録
ウィンドウ左側に素材置き場のパスを登録しておくと便利なので、まずは登録しましょう。
ウィンドウ左側の[Shortcut]というところに[My Computer]があるのでそこをクリックすると、右側のファイル一覧にドライブ名一覧が表示されるので、目的のドライブをダブルクリックすればその中に進めます。Windowsのエクスプローラーと同じ要領で登録したいフォルダがある場所まで進み、登録したいフォルダを右クリックして[Add to shortcut list]をクリックすれば登録完了です。
波形ファイルのインポート
単純に波形ファイルをインポートしたいというだけであれば、Media Explorer上で波形ファイルをダブルクリックするか、REAPERのタイムライン上にドロップすればインポートできます。
波形の一部をインポートしたい場合は、波形表示部分をマウスでドラッグして範囲選択し、選択した部分をREAPERのタイムラインにドラッグ&ドロップすれば、選択した部分だけがItemになる形でインポートできます。
また、Media Explorer上で設定した[Pitch]やオプション設定でインポートされる具合が変わります。
※MediaExplorerのウィンドウ上でコントロールがない部分を右クリックするとメニューが表示されてオプションを設定できます
- オプション [Enable looping when inserting selected portion of media]
ONにすると、範囲選択した波形が単独のwavに切り出される形でインポートされます。厳密にはTakeのメディアソースSection範囲がこの範囲に限定した設定でインポートされます(Itemプロパティウィンドウで確認出来ます)。一見すると選択範囲以外の波形が破棄されたかのような振る舞いになります。
↓ Itemプロパティウィンドウ下部のTake media source設定部分
OFFの場合は選択範囲波形がインポートされても、Takeのメディアソース範囲は設定されないので、Itemを引き延ばすと隠れていた波形が見えるようになります。
下の画像はこのオプションON・OFFでインポートしてItemの端をドラッグで伸ばすとどのような違いが出るかを示しています。
波形選択範囲を右クリックでインポートする場合、インポートの細かい制御が可能です。
※タイムライン上の編集カーソル位置にインポートする場合、[Start on bar]にチェックが入っているとカーソルがいる小節の先頭位置にインポートされます。
- [Insert selected portion in to project (loop enabled)]
タイムラインの編集カーソルがある位置にインポート(ItemのLoopがON)
いわゆる普通のインポートという感じでしょうか。 - [Insert selected portion in to project (loop disabled)]
上記と同じでLoopがOFF - [Insert at time selection (stretch/loop to fit)]
アレンジビュー(タイムライン)の時間範囲選択にフィットするように引き延ばしてインポート - [Insert int project on a new track]
新しくトラックが作成されて、編集カーソル位置にインポート - [Insert as take in selected items]
選択したItemすべてに新しいTakeが作成されてそこにインポート - [Use as media source for selected items]
選択したItemの現在のTakeに対し、MediaSourceを差し替える形でインポート - [Use as media source for selected items (stretch/loop to fit)]
上記と同様ですが、Itemそれぞれの長さに応じてフィットするように引き延ばされます。
ピッチ設定
ピッチはトランスポートコントロール(再生関連)の右側の方の[Pitch]という部分で変更できます。
Pitchのノブを回したときにどういった単位でピッチを変えるようにするか(半音単位、無段階など)などは以下のオプション(右クリックメニュー)で設定可能です。
- Pitch shift knob behavior (shift toggles)
Pitchノブを回した時のピッチ変化の段階設定(無段階・1/4トーン・半音) - Pitch shift knob range
Pitchノブで指定出来る範囲を変更できます(±2~±12 半音) - Preserve pitch when tempo-matching
テンポマッチングをONにした場合に波形が引き延ばされますが、この時元のピッチを維持しようとするかどうか
テンポマッチ設定
波形表示上部にあるテンポマッチ設定により、テンポに準拠した長さでインポートすることも出来ます。プロジェクトのテンポと波形素材のテンポ設定(持っている場合)が一致しない場合はタイムストレッチがかかります(ItemのPlay Rateなどが変わります)。
- Tempo match off
テンポマッチによる引き延ばしは行わず、メディア自身の再生時間に基づいてインポート - Tempo match on
テンポマッチに基づき、引き延ばされた状態でインポートされます。 - Tempo match half
現在の半分のテンポに同期する形でインポート - Tempo match double
現在の倍のテンポに同期する形でインポート
ちなみに波形ファイルのメタ情報にBPM情報を持つか持たないかでインポートのされ方(小節へのフィット方法)が異なるようなので、参考までにそれぞれの設定でどうインポートされたかの画像を貼っておきます。REAPER本体のBPM設定は120で、トラック毎に4種類のテンポマッチを変えて、wavファイルをインポートしました。wavは同一の内容でBPM設定があるものとないものを使用しています。
今回は素材フォルダのショートカット登録とファイルのインポート方法を紹介しました。なにやらいろいろな設定があって面倒っぽく感じられたかもしれませんが、よくわからないうちは「波形ファイルダブルクリックでインポート」だけ覚えておけばOK。慣れてきて欲が出てきたら細かい設定をいじればよいでしょう。
まだまだ便利な機能があるので、あと数回くらいは記事にできそうです。
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