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REAPERでFXマルチアウトTrack自動作成

NIのREAKTORやKONTAKT、UVI Falcon、ドラム系Instrumentなど、プラグインから各種パートの楽器を個別にオーディオ出力できるプラグインが多数あります。また、MXXXなどのようにFXでもマルチアウトが可能なものも存在します。今回はREAPERでこれらのようなマルチアウトを扱えるFX(VST・VSTiなど)の一般的な設定について説明します(プラグイン個別の設定には触れません)。

MultiOut_BM03

また、本記事ではTrack間のAudioルーティング設定およびTrack内部のFXチャンネルルーティング設定が当たり前のように出てきますので、そのあたりをご存じなければ以下の記事などを参考にしてみて下さい。




FXからのマルチアウトTrackの自動作成

REAPERではマルチアウトが可能なプラグインについては、FX一覧で出てくる名前に (XX out) もしくは (XX→YYch) といった表記が出てきます(後者はXXin→YYoutという意味)。

FXMultiOutable

とはいえ、表記がなくても自分でマルチアウト設定可能なプラグインもある(VST3版MXXXなど)ので、上記の表記がなくてもマルチアウト可能な場合があったりします。それらプラグインの仕様はそれぞれのプラグインのマニュアル等を確認して下さい。

マルチアウトTrack自動生成方法

マルチアウト可能なFXについて、その出力を個別のTrackに出力(センド)したい場合、以下の手順で出力先Trackを自動生成出来ます。

  1. マルチアウト出来るFXをTrackに挿入
  2. 挿入したFXをFXChain上で選択し、右クリックから以下のメニューを選択
    Build multichannel routing for output of selected FX...
    MultiOut_BM01
  3. Trackを自動生成する旨の確認ダイアログが表示されるので [はい(Y)]
    MultiOut_BM02
    この時「Could not get channel info for effects (are they multichannel?)」といった表記が出てTrack作成出来ないという場合は、FX出力チャンネル数が2outという状態になっているので、それよりも多くのチャンネルをTrackに持たせて(4ch以上にするなど)やり、FXからも4ch出力が出来る状態がFX Chanel Matrix上で確認できればうまくいくと思います。
  4. あとは個別のFX(プラグイン)のマルチアウト設定が適切であれば、個別のTrackに音声が流れるようになっているはずです。
    MultiOut_PlayBM01
    (※例えば上記の画像の例で出しているUjam Beatmakerだと各楽器の出力を[Individual]にプラグイン上でセットする必要があります)

ちょっと難しめの話(よく分からなければスキップでOK)

ちなみにこのマルチアウト用Track間ルーティングで注意すべきところは、FXChainの個別のFXから直接別のTrackに音声が送信されている訳ではないという点です。あくまでFXが使っているTrack内のチャンネルが別の新規Trackにルーティングされるというだけです。

FXChainで複数のFXを挿入(順にFX1,2とする)しそれらのFXが同じオーディオチャンネルを共有している場合(要するにFXを挿入しただけの状態で、どちらも1/2チャンネルを使っているという場合)を考えてみます。この時、FX1を右クリックして上記操作で別の新規Trackに音声を出力しても、そこに送られるのはFX1→FX2を通った結果の音声になります。要するにFX1の位置での音声を抜き取れるという訳ではなく、あくまでTrack間のルーティングを自動設定してくれるだけ、という感じです。


REAPERのTrack間ルーティングとサイドチェインの基本 (3)

前回はReaCompのような「プラグインの中にサイドチェイン機能が搭載されているもの」について扱いましたが、REAPERではサイドチェイン機能を持たないプラグインのパラメータもサイドチェインで動かす方法があります。Parameter modulationという機能ですが、今回はこれを使ってみましょう。


Parameter modulationを使ったサイドチェイン設定

Parameter modulationはVSTプラグインなどのFXのパラメータをモジュレート(時間経過とともに動かす)する機能ですが、どのように動かすかを決めるモジュレーションソースを以下のものから選べます。

  • Audio control signal (sidechain)
    音声信号の強さを元に動かす(いわゆるEnvelope Follower)
  • LFO
    LFOで動かす
  • Link from MIDI or FX parameter
    MIDIメッセージに追従させたり、他のFXパラメータにリンクさせて同時に動かす

今回は [Audio control signal (sidechain)]のみを扱います。サイドチェインの設定はざっくり以下の流れになります。

  1. 前回と同様にTrack A, Bを作り、B(1/2ch)→A(3/4ch)という感じでルーティング(前回を参照
  2. Track AにFXを挿入して、動かしたいパラメータをマウスでクリックして触る
  3. そのFXの画面上部にある [Param] ボタンをクリックして [Param>Parameter modulation/MIDI link] を選ぶ(Parameter modulation設定ウィンドウが表示される)。
  4. ウィンドウ上部の [Enable parameter modulation.~] のチェックがONになっているのを確認
  5. [Audio control signal (sidechain)] にチェックを入れ、[Track audio channel] を [3+4] に設定。
  6. あとは音声に対してどう反応するかを設定すれば完了。

では順にやっていきましょう。


Track A, Bの作成とルーティング

前回と同様に作成するだけなので、手順は省略。下の画像ではTrack A, Bにてきとーにサンプルを貼ってあります。

TrackAB02

Track AにFXを挿入してParameter modulationの割り当て

FXはReaEQとかでも何でもよいのですが、後での比較のため今回もReaCompを挿してみます。ここではReaCompでのコンプレッションは行わず(全てデフォルトのまま)、ReaCompからの出力であるWet音量を動かすだけにしてみます。

手順は以下の通り

  1. Wetのスライダーノブをクリック(さわる)
  2. FX画面上部の[Param] をクリックして [Param>Parameter modulation/MIDI link] を選ぶ
AssignParamMod01

これで直前に触ったパラメータに対してParameter modulationを設定するウィンドウが表示されます。
ParamModWindow


パラメータを動かすための設定

以下の手順で設定します。

  1. [Audio control signal (sidechain)] にチェックを入れる
  2. [Track audio signal] を [3+4] にして3/4チャンネルの音声信号を使うようにする
  3. 各種パラメータを好みの動きになるように設定してパラメータを動かす
ParamMod01

各種項目の意味は以下の通りです。

  • [Enable parameter modulation]直下にあるスライダー
    パラメータの基準位置
  • Input
    入力されてきている音声信号の音圧
  • Attack, Release
    Inputに対してどの程度速く反応(追従)するか
  • Min/Max volume
    音声入力の強さをパラメータの動く量にマッピングするダイナミックレンジを決める値
  • Strength
    パラメータを動かす量をスケーリングして弱めることが出来る
  • Direction
    パラメータを動かす方向(Negativeなら下げる方向に動かす)
  • Audio control signal shaping (右側のグラフ)
    パラメータを動かす量の感度調節用で、赤い丸を動かして調整する。
ParamModSC01
↑ 再生して動いてる様子(左側のWetが動かされている)

以上で設定方法については完了です。ここでは試しに以下のようなTrackを作ってサイドチェインの処理を行った結果を2つレンダリングしてみました。どちらもTrack Bの信号をサイドチェイン入力として使い、ReaCompで圧縮した[Comp]トラック、Parameter modulationで音量を下げた[Param mod]トラックが結果をレンダリングしたものです。どちらも反応速度(Attack)は最速(0)にして音量を下げるような設定をしているだけ。

RenderSCResult01

Parameter modulationで変化させた方は何故かサイドチェインの音声が入って来る少し前から音量の減少が始まっているのが謎ですが、レンダリング時に先読みとかして早めに反応しちゃったりするんですかね?


REAPERのTrack間ルーティングとサイドチェインの基本 (2)

前回はREAPERのTrackにおける信号の流れについて基本的なことを解説し、Track間でのセンド設定に触れました。今回は他のTrackから受け取った音声信号をコンプレッサーのサイドチェイン用の入力に繋いだりといった設定方法を見ていきます。


ReaCompを用いたサイドチェイン設定

以下の手順でサイドチェインコンプのセットアップを行っていきます。

  1. Trackを2つ作成(A:コンプを設定するTrack、B:サイドチェイン用の信号をAに送るTrack)
  2. Track B→Aに [Route] ボタンドラッグし、BのAudio 1/2チャンネルをAのAudio 3/4チャンネルにセンド
  3. AのFXにReaCompをインサートし、FXへの入力信号マトリックスを設定
  4. AのReaCompで [Detector Input] を [Auxiliary Input L+R] にする
  5. あとは再生するとBの信号がReaCompに入ってくるのでコンプレッションの設定を行う

Track(A, B)を作成してセンド設定

TrackSend34_01

Trackを2つ作成したら、Track Bの[Route]ボタンを左ドラッグでTrack Aにドロップしてセンド設定ウィンドウを表示します。デフォルトでは受け取り側のTrackに2チャンネルしかないので、Audioの送り先は [ (new channels on receiving track>3/4) ] を選んで、Track Aの3/4チャンネルを作成しそこにセンドするようにします。


FX入出力チャンネルマトリックスの設定

Track AのFXにReaCompをインサートします。FXの画面が表示されたら、画面右上にある [4 in 2 out] というボタンをクリックすると、入力チャンネルマトリックスが表示されます。

FXChMatrix01

ReaCompは4チャンネルにして1/2(L/R)チャンネルを通常入力、3/4チャンネルをサイドチェインなどのAUX入力として使う仕様となっているので、今回の手順であれば既に4チャンネルが適切にマトリックス設定された状態になっていると思います。なのでとくにいじる必要はありません。

チャンネルマトリックスは左側のグリッドが入力チャンネルのマッピング、右側のグリッドが出力チャンネルのマッピングになっています。一見迫力はありますが簡単な仕組みです。

入力マッピングはグリッド左側から入ってきた入力信号が、プラグイン側のどのチャンネルに入力されるかを設定します。出力マッピングではグリッド上側がプラグイン出力チャンネルに対応しており、それをグリッド右側のどのTrackチャンネルに出力するかの設定となります。

FXChMatrix02
上図ではチェックした場所と信号の流れのイメージを掴むため、一部のチャンネルのみ黄色矢印で記載しています(煩雑になるため一部だけ。チェックされた部分は全部同じような感じで信号が流れます)。

シンプルなコンプのプラグインであればチャンネルマトリックスをいじる必要はないかもしれませんが、より複雑でプラグインの入出力を多数持つプラグイン(Melda ProductionのMXXXなど)を利用する場合は、自分でどのチャンネルをどこに流すかの設定が必要になります。


ReaComp側でDetector入力をサイドチェイン側(AUX)に設定

ReaCompでどの信号の大きさをもとにコンプレッションを行うのか、を切り替えるのが [Detector Input] の設定です。

デフォルトでは [Main Input L+R] になっていますが、これを [Auxiliary Input L+R] としてやることで、3/4チャンネルからReaCompのAUXに入力された信号をコンプレッション用の入力として使うように切り替わります。

ReaCompDetectorInput01

ReaCompのDetector信号調整

ReaCompをサイドチェインで使うかどうかに関わらずなのですが、Detector信号の調整を [Detector Input] より下にあるパラメータで調整出来て便利です。

ReaCompDetectorAdjust01
  • Lowpass, Highpass
    Detector信号にLowpass/Highpass Filterをかけて削ることが出来ます(Cutoff周波数のみ調整可)。例えばサイドチェインでドラムの音が送られてきた場合に、キックなどの低音のみに反応させたい場合はLowpassの周波数をぐっと下げてやるといった使い方が出来ます。
  • RMS size
    Detector信号のRMSを計算する際の窓サイズ(ミリ秒単位)です。よく分からなければいじる必要はありません。
  • Preview filter
    チェックをONにするとDetector Inputの信号を音声として聞くことが出来ます。Detector Inputの信号調整用のリスニング機能です。

これでサイドチェインコンプとしてのセットアップは完了しましたので、あとは音声をどう圧縮するかの設定をReaCompで行えばOKです。

ReaCompSC01
↑ 再生中の例


サイドチェインの設定を解説してみましたが、いかがでしたでしょうか? チャンネルマトリックス等ややこしそうなものも出てきましたが、Effect系かInstrument系かを問わずオーディオプラグインの入出力設定は同じ仕組みになっています。一度覚えてしまえばそれ以降困ることはなくなりますので、是非チャレンジしてみて下さい。

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