melda-logo01

前回に引き続き、初心者の方向けにMeldaプラグインの基本的な使い方についてまとめています。前回の記事をご覧になっていない場合はこちらをまずお読み下さい。

今回はMeldaプラグインでパラメータを動的に動かしたい場合に必要になる、ModulatorとMulti Parameterについての使い方を説明します。


Modulator(モジュレーター)の使い方

Modulatorについては前回のUTILITIESパネルのところで触れましたが、ここでは簡単な使い方を説明します。UTILITIESパネルに [Mod 1] のようなボタンがあれば、Modulatorを利用できます(プラグインによっては搭載されていない場合もあります)。

Melda_ModButton01

前述の通りModulatorはLFOやEnvelopeといったモジュレーションをパラメータにかけるのに使用します。

パラメーターラーン(Learn)について

ModulatorやMulti Parameterを使う時に「Learn」という用語が出てくるのですが、これはMIDI Learn機能ではなく、「Modulatorなどをパラメータに割り当てる」という意味なので覚えておきましょう。

例えば、1番目のModulatorでパラメータ [DRY/WET]を動かしたい場合は、以下のような操作を行います。

Melda_ModLearn02
↑ 下記 1.~4.の手順を行った例
  1. [Mod 1]を右クリック > [Learn]
    これで [Mod 1] の表示が [REC] になり、これ以降にいじったパラメータに対してModulatorが割り当てられます(複数のパラメータを動かせば複数のパラメータに割り当てられる)。
  2. [DRY/WET] ノブをマウス左ドラッグして範囲を決める
    いじったパラメータを動かした範囲(Min, Max値)が [Mod 1] に記録され、その範囲内でのみ値が動くようになります。
  3. [REC] になっているボタンを左クリックしてLearn終了
    [REC]になっていたボタンが [Mod 1] に戻ります。Learnを終了しないであちこちいじっていると、いじったところ全てにModulatorが割り当てられてしまうので注意
  4. [Mod 1] ボタン内の左側のチェックでModulatorのON/OFF切り替え
    ONにするとチェックが光り、音声l処理中にModulatorが動作するようになります(Modulatorのデフォルト設定はシンプルなLFOになっているので、これだけで動作します)。
    Melda_ModOn ← ModulatorをONにした状態

Modulatorボタンを右クリックしたときのメニュー

Melda_ModLearnMenu01
  • Learn
    Modulatorをパラメータに割り当てるLearnを開始。今までにLearnしたパラメータへの割り当ては解除されないので、Learnする毎に他のパラメータへの割り当てを増やすことが出来ます。
  • Clear & Learn
    これまでに割り当てたパラメータへの接続を全てクリアして、Learnをやり直す場合に使用
    (要するに[Reset]+[Learn]と同じ)
  • Reset
    これまでに割り当てたパラメータへの接続を全てクリア

※ちなみに基本無料版のプラグインであるFreeFXBundleをアップグレードしないで(無料のままで)使っている場合、このModulatorの機能は封印されていて使えません。


LFOでパラメータをモジュレーションしてみる

ではここでLFOに設定したModulatorを [DRY/WET] に接続して動かす、という設定の手順を紹介します。

Melda_Modulation01
↑ 以下の手順を実際に行った例
  1. 前述の [Mod 1] を [DRY/WET] に割り当てる例の手順に従ってパラメータLearnを行います。
  2. [Mod 1] を有効化し、音声をプラグインに流して処理させるとModulatorが動作します。
  3. [Mod 1] を左クリックしてMODULATORウィンドウを表示
  4. ウィンドウ上部にある [NORMAL] を選択(デフォルトで選ばれているはず)
  5. RATEパネルにある [Frequency] でLFOの周波数を変えてみる
  6. RATEパネル右上に [Sync] ボタンがあるので有効にすると、LFO周期 [Length] をホスト(DAW)のテンポに合わせた値にも設定出来るので試してみる

これでパラメータをModulator(LFO)で動的に動かす方法の雰囲気は掴めたのではないかと思います。


Modulatorが動作しない時にはここをチェック

自分も時々やってしまうことがありますが、パラメータLearnしてModulatorを有効化したのに「あれ? 全然動かないぞ」となることがあるかと思います。

この場合は大抵プラグインに音声を流していないことが原因だったりします。DAWを再生しただけでは不十分で、プラグインに音声入力が入ってきている必要がありますので注意。

これは何故かというと、Meldaのプラグインのver.14のどこかあたりで最適化処理が入り、プラグインに入力がない状態で少し時間が経過するとプラグインがスリープ状態に移行するようになったためです。当然無駄な処理が省かれて全体的に動作が軽くなっているのでありがたいのですが、単純にModulator設定を行っている時点では戸惑う原因になりがちかと思います。

Melda_ModTrouble01
↑ 波形が流れていないとModulatorが動作しない例

ちなみにプラグイン画面右上に [Active] と表示されていればプラグインが動作中、[Sleeping] と表示されていればスリープ中です。

Melda_PluginSleepActive


Multi Parameter(マルチパラメーター)の使い方

Multi Parameter(MP)については前回のUTILITIESパネルのところで触れたとおり、MPを割り当てたパラメータをDAWのオートメーション機能(REAPERならTrack Envelopeなど)で動的に動かすための機能です。下の画像のような [M 1] などといったボタンがあればこの機能を利用することが出来ます。

Melda_MPButton01

パラメータLearnについてはModulatorの使い方で触れた方法と基本的には同じです(ボタンを右クリックしてメニューから [Learn]~の流れ )。


時短になるQuick Learn

MPのパラメータLearnメニューには [Quick Learn] という機能があります。これは割り当てたいパラメータを1つクリックしただけでそのパラメータの全範囲をMPに割り当ててくれます(割り当て操作はそのワンクリックで完了します)。

Melda_AssignMP01

割り当てを完了させるために[REC]になった[M 1]などをクリックするといった操作の必要がありませんので、単一のパラメータ全体をMPに割り当てたいという場合はサクサクと作業ができ、時短になります。


MPに名前を付けてホスト(DAW)のオートメーションで動かす

MPには名前を付けられますので、分かりやすい名前を付けておくとよいでしょう。DAWのオートメーション機能を使う際に、パラメータ名としてここで付けた名前が表示されることになります。

名前設定はMULTIPARAMETERウィンドウ右上にある APPEARANCEパネルの [Name] というテキストボックスに英語で記入します。このウィンドウには他にもたくさん設定出来るところがありますが、全てデフォルトのままでOKです。

あとはDAWのオートメーション機能を使い、自分の付けた名前の項目を選んで動かすだけです。これについてのやり方は各DAWのマニュアルを見て下さい。

Melda_MPName01
↑ MPに「HelloMP」という名前を付けて、REAPERでTrack Envelopeを表示する例

Melda_MPAutomation01
↑ MPをDAWのAutomationで動かしている例

(豆知識)EasyScreenにパラメータを表示させる仕組み

実は名前を付けたMPは、プラグインのEasyScreenにノブ等のGUIで表示される仕組みになっています。いくつかのプラグインで試したところ、正常にMPのパラメータが表示される場合とそうでない場合とがありました(バグっぽい感じもしますが、勝手に他のプリセットのGUI表示などに切り替わってしまったりする場合がありました)。

Melda_ESMPGui01

また、EasyScreenにMPをノブなどのGUIとして表示し、EasyScreenを自由にデザインできることが前提になっているプラグインというのも実はいくつかあります。代表的なものはMXXX、MSoundFactoryです。

これらのプラグインは内部がModularになっており、自分でマルチエフェクトやシンセなどを設計して作ることが出来ます。そして設計・実装したものを使い易いようにMPのパラメータに落とし込んでEasyScreenを作り、プリセット化(MXXXデバイス、MSoundFactoryデバイスなどとも呼ぶ)出来るようになっているのです。

とはいえ、ほとんどのユーザーはそこまでやる必要がないので、MPはDAWのオートメーションと紐づけて使うもの、くらいの認識で全く問題ありません。

あと、デフォルトでオートメーションパラメータとしてDAWで表示されるようなパラメータについては、わざわざMPを割り当てなくてもオートメーションで動かせます。オートメーションには必ずMPを使わないといけない、という訳ではありません。


パラメーターロックの使い方

パラメータロック機能というのは、簡単に言うと「プリセットを切り替えてもロックしたパラメータはプリセットの設定で上書きされないようにする機能」のことです。UTILITIESパネルの [Lock] ボタンで設定を行います。

Melda_ParamLockButton

これもModulatorなどと同様にパラメータLearnして使います。ただし、パラメータ範囲などは記録されず、どのパラメータをロックするのかという割り当てだけが記録されます。

また、[Lock] ボタンのON/OFFでパラメータロックするかどうかを切り替えることも出来ます。

Melda_ParamLock01
↑ [DRY/WET] をパラメータLockして、プリセット変更時の挙動を確認している例

あと、パラメーターロックをONにしても値が動いてしまうケースがあります。例えばModulatorなどで値が上書きされる状態に設定されたプリセットに切り替えた場合などでは、ロックしても値が変わってしまうようでした。まぁこのへんはプラグインの仕組み上仕方ない気もしますが、一見不具合のように感じてしまうかもしれないので、慌てないように覚えておきましょう。



前編・後編と2回にわたってMeldaプラグインの基本的な操作方法をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。ほんの少しでも参考になれば幸いです。

今回紹介したModulatorとMulti Parameterはもっと深く使い方をマスターしていくと、そのとんでもない機能性・応用力に度肝を抜かれていくと思います。そしてMXXXやMSoundFactoryでModularを実装できるようになってEasyScreenを自分で組み立てていけるようになると、Multi Parameterの真の実力を発揮できるようになっていきます。

…とはいえそこまで使いこなさなければいけないのか、というとそんな事はありません。まずはプリセットなどを使ったりして、気長に取り組んでいきましょう。